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〜5〜 ページ39

◽️生来の術式。そして、"猿の手"の受肉体となったことで間白は魂の知覚する才を持つ。
 生物の魂も干渉こそできないが、その形を捉えることはできる。

「これは少し予想外かも」

 間白はベットに横たわる津美紀を見て、顔を顰めた。
 そもそも間白がこの病院に来たきっかけは、遡ること約1時間前のこと。間白が伊知地からの電話を取った時。

「伏黒君のお姉さん?」
「はい。今年の3月から突然倒れ、それきり昏睡状態になっています。呪いが原因なのはわかっていたのですが、今までその大元は分からずじまいで。しかし──」

 どうやら、1年生3人が向かった任務の原因である呪霊が伏黒の姉──津美紀の昏睡に関わっていることがわかった。
 呪いの特性から言って、呪霊が病室に出現するかもしれない。
 そこで、室内戦において有利が取れる間白に津美紀護衛の任が回ったのだ。

 間白は津美紀の事情を知っている。
 羂索が企てる死滅回遊。
 その参加者として、羂索が事前に準備した泳者(プレイヤー)には2種類の人間がいる。
 術式が覚醒した現代の術師と受肉によって蘇った過去の術師。
 間白は津美紀が泳者(プレイヤー)に選ばれた人間であることを知っている。
 そして、直接彼女を見るまでは覚醒タイプの術師だと思っていた。
 しかし、実際の答えは後者の方だった。

「受肉タイプか」

 間白の魂を知覚する才は彼女の中に別の魂がいると察知した。
 奥深くにひっそりと、でも確かな存在感を放つ魂がいる。

「参った……」

 間白は津美紀の髪をそっとかき分けた。
 髪で隠れていた額には、禍々しい呪印が浮かんでいる。
 津美紀の昏睡の根源は羂索が彼女に呪印をつける際に放った呪力である。
 そのため、呪印の術者である羂索を殺せば、わざわざ間白が彼女に直接働きかけなくとも昏睡は解かれる。
 だが、それは覚醒タイプの術師の場合のみ。

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作者名:四畳間 | 作成日時:2023年12月7日 17時

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