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◽️ "猿の手"の受肉体。そして、術式の副次的効果による魂の知覚。そのため、間白の攻撃は真人に有効だ。しかし、それは殴る蹴るなどの直接的な攻撃時のみ。
──虎杖君と私だったら、虎杖君の打撃の方が奴に効く。なら私のやることは1つだけ。
「虎杖君、近距離は君に任せた」
間白は術式を地面へと走らせる。
地面にかかる虎杖と真人の重心が術式を媒介に間白へ伝わる。
間白は視覚と術式からの情報で2人の動きを察知し、半自動的に虎杖に有利な、真人に不利な地形を作り上げる。
近距離攻撃と遠距離からの妨害。
「やっぱり厄介だな」
真人の重心が右に傾いた。そのまま、間白の方へ距離を詰める。
「させるかよっ!」
虎杖が回り込み、真人にボディブローを叩き込む。
──まずいっ。
虎杖と真人の距離が近すぎた。しかも、あの体制から無理に地面を動かすと虎杖がバランスを崩す。
悪手だ。間白は非力でもお互いにフォローしやすい近距離で応戦すれば良かったと後悔した。
真人は虎杖の自己犠牲的な精神を利用した。間白をこれから狙うとわざとわかりやすい挙動を取れば、体当たりでも何でも自分を止めに来るのをわかってて。
間白の想像通り、虎杖の体は真人の体から伸びる棘に貫かれた。
「君じゃ俺に勝てないよ」
まさに好奇。真人は虎杖の体を貫いたまま、原型の手で彼に触れる。
「無為転変」
圧倒的邪悪。呪力では測れない圧倒的存在感。
真人の目の前に呪いの王が現れる。
「小僧の惨めな顔を見せてくれた礼だ。一度は許す。二度はない。分を弁えろ、痴れ者が」
領域から追い出される。
その呆気に取られた刹那。
「代わんねぇよ。言ったよな。ぶっ殺してやるって」
虎杖は衝動のままに真人へ攻撃をぶつける。その間に間白も合流する。
虎杖が蹴りを入れ、間白が掌底を入れる。
次に間白が蹴りを入れた瞬間、足に真人の腕が巻き付く。
絶体絶命。
その時、呪符が巻かれた鉈が腕を切り裂いた。
間白は安堵した。
もうここまでくれば、後の展開は固定される。
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作者名:四畳間 | 作成日時:2023年12月7日 17時