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◽️帳の中で一層濃くなる呪いの気配。視界にいなくとも強烈な死の存在が肌に伝う。
2人は走り出した。示し合わせる必要もない。ただ一直線に廊下を走り、階段を駆け上がる。
「人?」
3階と4階を繋ぐ階段の踊り場。そこの角に寄りかかるように座る人影が見えた。
頭をもたげているせいで顔がわからないが、その背格好から誰であるかは一目瞭然だった。
「順平!」
虎杖が名前を呼ぶ。しかし、反応はない。
右腹部から流れる血が服をしとどに濡らし、床へと流れていく。その出血量と冷えていく体温が予断を許さない状況だと物語る。
しかし、さらに状況は悪化する。
窓ガラスが割れ、人の名残を残した異形──3体の改造人間が間白に襲いかかる。
改造人間はどれも子供ほどの大きさであり、その身軽さで間白の顔に飛び掛る。
その勢いに押され、間白は背中から真っ逆さまに階段へ落ちていく。
虎杖も応戦しようとするが、どこからか現れた肉の塊が彼の体を壁に打ち付ける。そのまま肉と壁の間に挟まれ、身動きが取れない。力を緩めれば、肋骨の一本は折られてしまうほどの圧が虎杖にかかっていた。
唯一動く眼球は今にも命尽きようとしている吉野の姿と自身を拘束している肉の終着点を捉えた。
ツギハギ顔の人型呪霊。肉はその呪霊の右腕が変形したものだった。
「あー、切りすぎちゃったかな。死なれると困るから手短に行こう」
呪霊は場に似合わない軽薄な口調で言い放った。
「宿儺に肉体渡しちゃってよ。宿儺ならコイツを治せるだ……ろ?」
呪霊も虎杖も吉野の方を向いた。
彼の頭上にはクラゲのような式神が浮いていた。
その式神の数多ある触手のうちの一本が虎杖を拘束している腕を貫いた。
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作者名:四畳間 | 作成日時:2023年12月7日 17時