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◽️地図には失踪者、変死者、残穢が確認された一帯を赤ペンで大きく囲われている。範囲内ギリギリに高校があった。
「おそらく、次の標的になるのはこの里桜高校の可能性が高いです。ただ、休校などの処置は取れないため、検知用の呪符を敷地内のどこかに貼りにいきます」
「あぁ、なるほど。だからか。修理の依頼にしちゃ、入り時間が早いと思った」
「話が早くて助かります」
「えっ?!俺わかんないだけど?」
「虎杖君。こっそり動く時に流れる脳内BGMってどんな曲?私はピンクパンサーのやつ」
♦︎♦︎♦︎
「悪いことしてる気分」
「なんだか、緊張してきた。とっとと終わらそう」
虎杖と間白は里桜高校に不法侵入していた。
しかし、これは不可抗力だ。検知用の呪符を張るために学校へアポを取る時間がなかった。
幸い、今は体育館で全校集会を行っているため、理科室で息を潜める2人の周囲に人の気配はない。
「人の出入りが少なくて、呪符が見つかりにくい場所……。どこだと思う?」
「あー、うーん、図書室とか?そこで授業とかねぇし、休み時間も人いるイメージない」
「じゃあ、そこにしよう。多分上の方の階にあるはず」
2人は身を眺めながら、理科室から廊下へ出た。
「あれ?」
間白は異変を感じた。
なんとも言えない違和感。それを辿るようにスカートにある右ポケットへ手を突っ込んだ。そこには今回使う呪符を入れていた。
呪符は元々、真っ白の和紙に文字や符号が墨で書かれたものだ。しかし、間白の手にある呪符は真っ赤に染まり切ってしまっている。
「間白!」
虎杖が窓から上空を指差す。
雲が浮かぶ青い空に、黒い澱みが広がる。
今、まさに帳が降りようとしていた。
間白はなんだかデジャヴを感じた。
「避難は、間に合わねぇ」
「仕方ない。"猿の手"」
間白は淡々と自身の右腕に告げた。
「体育館の空間を使って結界を張れ。その中にいる人間は全員眠らせろ」
願いは叶えられた。
間白の預金から40万が消し飛んだ。これが代償である。
「気配は……」
虎杖と間白は顔を見合わせ、同時に上を向いた。
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作者名:四畳間 | 作成日時:2023年12月7日 17時