猿の手編〜1〜 ページ2
▫️猿の手。
一般的に猿の手といえば、W・W・ジェイコブズ著作のホラー短編小説に登場した架空のアイテムを指す。しかし、似たようなアイテムが呪術の世界には実在する。
古来より日本に伝わる呪物──猿の手。
見た目は小説の方と同じく、猿の腕部をミイラ化させた物である。蠱術や厩神信仰の過程で生まれ、「払う」「掴む」「指す」などの手の動作に由来する術式が1つ付与されている。
さらに猿の手にはランクがあり、「掴む」術式を持った猿の手は億単位の価値があるとされる。
夢を 掴む
奇跡を 掴む
このように「掴む」対象の解釈を広げることで猿の手に願いを叶える効力が生まれた。
しかし、叶えられる範囲が狭かったり、願いに対して代償が割高だったりする。だが、それでも欲しがる呪術師や呪詛師はごまんといる。
そんな中、とある噂が立った。
それは──。
♦︎♦︎♦︎
「そういえば、伏黒も呪物ってか宿儺の指、回収しに来てたな」
ふと、虎杖は宿儺の指を飲み込んだあの夜の出来事を思い出した。
「まさか、あんなことになるとは思いもしなかっただろうけどね」
と間白は軽い調子で言葉を返す。
虎杖悠二と
この2人には非術師の家系出身という共通点があった。そのため、2人は場慣れと手順を覚えてもらう目的で一緒の任務に就くことが多い。
今日も呪物回収の手順を学ぶため、2人は補助監督の伊知地を指導係に目的地へ向かっていた。
2人を乗せた伊知地の車は高速を降り、商業地を抜ける。そして、住宅街に程近い、小さな有料駐車場で車は停まった。
「では再度、今回の任務内容を確認します」
伊知地は体を捻り、運転席から2人の方へ顔を向けた。
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作者名:四畳間 | 作成日時:2023年12月7日 17時