はろー絵本よ ページ22
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『ねぇしゅーたろう このティンカーベルはピーターパンに恋をしていたの?』
「はい。 でもピーターパンは彼女を良き友人としか思っていなかったようなので、ティンカーベルがウェンディに嫌がらせをしていた理由は分かっていなかったはずです。」
『でもティンカーベルからしたら、好きな人に 君がいちばん大切な存在だって言われたら勘違いするよね』
昨日言ってくれた通り 面堂邸の中にある図書室からしゅーたろうは 《ピーターパン》の本を探してくれていた。
食事と入浴を済ませたあと部屋に教科書と課題を持って現れたAを終太郎は笑顔で迎えた。
今日の分の課題が終わり明日の予習をする前に一息つこうと 2人でソファーに座り読み出したピーターパン。
以前終太郎がAの光を 妖精の粉みたいだと言ってくれたためどんな話か気になっていた
「う〜ん…もしかしたら、ピーターはティンカーベルの気持ちに気づいていたのかもしれませんね」
『どうして気づいているのに知らないフリをするの?』
「たとえば……、ピーターはティンカーベルを親友だと思っていて、彼女が自分へ好意を持っている事に気がついていたけど彼はウェンディが好きだったんだ。
もしティンカーベルの告白を断れば親友を失う事になる、ピーターはそれを避けたかった。
だから知らないフリをしている、という可能性です」
面堂は 高校生にもなってこんなに真剣に絵本の話をすることになるとは思っていなかったが、興味深そうにページをめくっては質問を繰り返すAが可愛らしかった。
「では、そろそろ明日の予習に入りましょうか」
『宇宙人にこんなのわからないよ〜っ』
物理は面堂の得意科目だ。
教科書をめくってエメラルドグリーンの目をきょろきょろさせるA
『しゅーたろう。どうしようやっぱり全然わからない』
無意識にいつもどうりAの周りをふわふわ舞う不安そうな光の粒が眩しい、
不安そうな瞳を安心させるために面堂は優しく微笑んだ
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作者名:たまき | 作成日時:2022年8月9日 10時