01.双子 ページ2
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反政府ゲリラの日雇い傭兵として廃墟にAとジェイクが待機させられて数日が立つ。もちろん他にも沢山の雇われ傭兵が廃墟に集められていたが金で雇われただけの仲間を信用できずAは双子の兄 ジェイクと2人で行動していた。
「栄養剤だとよ」
『ありがとジェイク』
下の階から戻ってきた双子の兄の手には注射器のようなものがあった。傭兵全員に配られていておそらくドーピング作用があるものだろうと思う。
投げられた注射器を受け取った代わり、おやつにと持っていた赤リンゴを投げ返せば視線機嫌よさそうにジェイクがキャッチし口笛を拭きながら右手のリンゴであそび始めた
『なんか機嫌いいねー』
「まぁな。とっとと金を手に入れるぞA」
『うん!』
やはり中々機嫌がいいらしいジェイクの口笛に合わせて自分も小声で歌を紡いだ。 さっきまでちょっと機嫌が悪かったためよかったよかったと首を縦にふる。
ジェイクが 自分の左側に座ったタイミングで袖をくいくいと引けばこちらを向く鋭い目
『ジェイク!せーので打とうよせーので』
「ガキじゃねぇんだよばか」
ハッと鼻で笑う癖に首に注射器を当てたままこちらに視線を寄越し待ってくれる優しい片割れに にひひ と笑い返し、受け取った注射器の栄養剤を せーの、のタイミングで首に注入し床に捨てた。チクッとしただけで何も分からない
『元気になった?』
「あーよくわからねぇな」
『だよねぇー。ドーピング出来なかったねジェイク』
残念だ と特に思ってもないことを笑顔で口にするAの頭をぐじゃぐしゃっと可愛がり口角を上げるはいつもの2人のじゃれあいだった。 生まれてからずっと一緒にいる2人は、双子だからというだけでは収まらないくらいお互いに依存していた。
私にはジェイクがいればそれでいい。
他に家族はいらない。友達もいなくていい。
「ーーっー」
『ん?…あらら?』
「よお、効いたか?これ。栄養剤らしいが俺らにはよくわからなくてな」
先程別のフロアに待機していた一応仕事仲間にあたる傭兵が慌ただしく自分達に近づいてくるのを見て あらあらどうしたの。と腰のナイフを取り出した。あと、こういうときに《俺ら》っていってくれるのいいよね嬉しい。
「ここだけの話だが、これならもっとギャラあげて欲しいもんだな。」
『わかるわかるもっとゆっくり寝たいよねぇ』
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作者名:たまき | 作成日時:2022年8月8日 14時