GAME1 (3) ページ8
また、あの音。
その音の先を見る。
私の眼の中には二人、自由に動ける体になったひとがいた。
あの女の子と、モデルさん。
「やっととれたあ」
女の子がのんきに声を出す。
一応こんな状況なのに。
そしてモデルさんは、すたすたとドアのほうへ歩き出していた。
そして、後を追うように、女の子がドアに向かう。
もちろん私には何も声はかけられなかった。
バタン
その音が聞こえる。
そうなると
この部屋にいるのは私だけ。
もう私しかいない。
どうしよう。あんまり使えない頭を回転させなきゃ。
『残り、一分です』
追い打ちをかけるように響く。
回転?回す……
そうだ。やっとわかった。
私は勘違いをしていた。
鎖は絶対に取れない。そんなことを。
こんな固定概念を持つから置いてかれるんだ。
私は鎖をねじった。これでもか、とでも言うように。
そうすると、鎖はとれた。
なんだ、簡単じゃん。
そして、手錠はなぜかとれた。
きっとこれはそういう仕組みなのだろう
私は一目散にドアに向かった。
少し焦げくさいようなにおいを嗅ぎながら。
わたしはたった数分の間しか見ていなかった顔を
もう一度見たかった。
どこか懐かしいあの顔。
今日はじめてあったはずなのに。
わたしはドアに手をかけ、
勢いよく開いた。
一番最初に見えたのは
あの子の、微笑み。
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作者名:ゆきだるまうさぎ x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/38a45e840c1/
作成日時:2016年9月22日 14時