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佐「ね、絶対楽しいから！阿部ちゃんもやろーよ！」
と佐久間にしつこく言われ渋々始めた事を思い出したのは、ゲーム内で佐久間を待っている時だった。
(もう、30分は待ってんだけど…)
渋々始めたもののやってみると意外と面白かった。自分の意識ごとゲームの中に入れるのは自分が思っているゲームのイメージをガラッと変えた。
sk「あっべちゃーん！おまた！」
ab「………遅いよ」
sk「ごめんごめん！お詫びにまたなんか奢るから許して〜…」
ab「奢って貰った事ないけどね」
sk「うっ……」
ダメージを受けたフリをしてる佐久間はほっといて、俺はいつも使ってる武器を出した。
sk「阿部ちゃんいっつも武器しまうよね〜。めんどくさくない？」
ab「あー…確かにそうなんだけどなんかしまっちゃうんだよね」
sk「ほーん、あ！じゃあ今日はあっちの森に行こ！」
ab「あ、ちょ佐久間待って！」
俺の返事も聞かず勝手に走り出した佐久間の後を追い、いつもとは違う森へ入った。
いつもの森がレベル1からだとすると、ここはレベル10相当だろうか。
俺のレベルは13、気は抜けない。
sk「阿部ちゃん予備動作デカすぎ！コンパクトに振らなきゃ攻撃受けちゃうよ！」
俺より少し前でバンバン敵を倒していく佐久間の動きは確かにコンパクトでダメージも全く受けてない。
(予備動作…予備動作…)
sk「…！危ない！」
ab「……！っ」
佐久間の声でハッとし前を見ると、俺より遥かに大きいモンスターが俺に向かって腕を下ろそうとしていた。
(やばい……死ぬ…！)
sk「っと、おらああああ！！」
佐久間の声とモンスターの唸り声が聞こえる。
ab「あー…死んだらまた街戻るじゃんめんどくさ…………え？」
sk「よかったー！間に合った間に合った」
ab「あれ、俺生きてる」
腕が当たる瞬間に佐久間の攻撃が急所を突いたらしく、俺は無事生きていた。
sk「戦闘中にボーッとしてたら駄目だよ阿部ちゃん！」
ab「ごめん、助かった…。ありがと佐久間」
阿部ちゃんは佐久間が居なきゃ駄目だね〜、とニヤニヤ笑いながら言ってる佐久間の脇腹を肘でつついてやった。
(まあ、あながち間違ってないか)
なんて考えてた事、絶対アイツには言ってやらないけど。
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作者名：aru | 作成日時：2021年8月8日 20時
