飛蝶 - 最愛の人 - (ページ45)

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Takahiro side.

今日も派手な格好をした結愛は、連絡も無しにこの家に来た。

よく突拍子のない事をするけど、最近は特に変や。

『用件は？』

結『用がないと来ちゃダメだった？
たまたま近くに来たから寄ったの。』

『自由に出入りできへんはずやけど』

結『そうだっけ？私はいつでもこの家に来る準備はできてるわよ。』

親同士が勝手に持ち出した結婚の話を真に受けて、俺に歩み寄ろうとする。

俺は付き合う気も、結婚する気もないから、わかりやすくあしらっとるはずやのに。

気づかんふりをしとんのか、ほんまに気づいてへんのか…

結『あ、そうだ。Aさんいる？渡したい物があったのよね』

机に置かれた茶色の封筒。

『今は忙しいから、俺から渡しとく』

結『また嘘つくのね』

『は？』

結『騙されるところだった』

小瀧が置いていったワンピースの上に、封筒に入っていた物を広げた。

結『知ってたんでしょ？あの子が神山組の娘だって』

何枚もの写真には全部、Aが写っていた。

わざわざ自分で調べたんか…

『…で？』

結『…もしかして、知ってて働かせてたの？』

『どうやろうな』

結『じゃ、この男は？行方晦ましてるんでしょ』

Aと一緒に写る、Aの元カレ。

Aがここを出て行く前に、小瀧が探して見つけ出した。

でも、またすぐに隠れて見つからんまま。

『…もう関係ないことや』

結『関係ない？あの子がここで働いてたのだって、自分の組のためだったら？昔、付き合ってたんだってね。利用されたんじゃ、』

『関係ない言うとるやろ』

思ったより低い声が出て。

俺の態度に驚いた結愛が悔しそうに鞄を持って出て行った。