飛蝶 - 最愛の人 - (ページ5)

今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:31,661 hit

. ページ5

彼が去った後、今までに起きた事に理解が追いつかなくて。

小『なぁ、』

後ろから聞こえた声で、放心状態から解ける。

小『ぼーっとしすぎ、車行くで』

「え、？」

小『家まで足ないやろ』

「あ…、はい」

私に話しかけた高身長の男と、一緒に広い部屋を出る。

小『びっくりした？濵ちゃんがあんなんなってて』

勝手に私のイメージで、裏の組織の人はみんな怖いと思ってたけど、この人はなんか威厳を感じない。

小『俺もびっくりしてんけどな。元カノとか言い出すから』

周りにろくな女おらんからな～って言う彼に、
きっと今でも遊んでるんだろうなって。

「あの……、」

小『ん？』

「本当に、私が返済しなくちゃいけないんですか…？」

見覚えのない請求書を肩代わりするなんて。

貯金だってそんなに無いのに…

小『どうせ勝手に保証人にされたから契約書も見てへんのやろ？払われへんなら、自分の体売ることなるで？知らんおっさんたちにな』

お金を払うか、自分がお金になるか…

さっきまでの柔らかい雰囲気を消して、私をジッと見て。

『俺はそれで落ちてく女を何人も見てきた。金があるなら黙って払った方がええと思うで？』

「…私に選択肢はないんですね」

被害者のはずなのに、みんなから冷たい目で見られる。

小『残念やけど、俺らも仕事やねん。可哀想だね、見逃したるわっていうのはできへんな』

全ての権限はあの男にあって。

小『濵ちゃんがなんて言うか知らんけど、』

私はいつから誰かに支配されるようになったんだ…

小『元カノって相当な不利やと思うで』

あぁ、やっぱり………

私はあの人を怒らせたままだ。