飛蝶 - 最愛の人 - (ページ16)

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私が、彼の女になってから色んなことを経験した。

二人でバイクに乗ったり、夜の公園で遅くまで話したり。

手も繋いだし、キスもした。

その先はしなかったけど、高校生の恋愛なんてこんなもんだって思って。

二人で居る時間が増えて、家に帰らなくなれば、
私はいつの間にか置いてけぼりで。

母『私、再婚することになったの』

「え…、本当……？」

母『結構ずっとお付き合いしてた人なんだけどね。Aには迷惑かけたくないから言えなかったんだけど…』

どうして？

娘だから、母親が幸せになることは嬉しいよ…？

母『再婚相手の方ね、世間で言うヤクザなの…。違う町で組長をしてて、私はそこに住むことになるけど。Aには秘密にしてたことだから、嫌なら一緒に住まなくていいの。ちゃんと自分で決めて欲しかったから…』

急な出来事に混乱してはいるけど、
母の話を聞く限り悪い人では無さそう。

向こうも一度離婚していて、息子が一人居るらしい。

「…私はこれからの事もあるし、できればその家系には居たくないかな……。もちろん、お母さんが決めた人だから、反対はしないけど。」

これから就職をして、もし結婚するとなった時。

私は、不利な立場にはいたくない。

優れた才能があるわけでも、魅力的な人間でもない。

できるだけ、普通の人で居たい。

母『わかった。でも、顔合わせだけでもしてくれたら、お母さん助かるな…』

「うん。いいよ。私も挨拶はしときたいし」

母『ありがとね。今まで散々、苦労かけたのに』

「私はもう一人でも生きていけるし。お母さんこそ、幸せになって欲しいから。」

来月には、今住んでるアパートに一人になる。

寂しくないかと言われれば嘘だけど。

もうすぐ大人になるんだし。

自立するいい機会じゃん。

そうだ。

この話は、一応、彼にも伝えなくちゃ。