飛蝶 - 最愛の人 - (ページ33)

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時計を見れば、席を立ってから結構時間が経っていて、私も戻ろうとお手洗いから出ると、

ドンッ、

後ろから誰かがぶつかって、思わず体がよろけたて足を挫いてしまった。

「いたっ…、」

しゃがんで痛む所を触れば、少しだけ腫れてる。

歩けない程ではないけど、ズキズキする足に気をつかいながら会場へと戻った。

小『遅かったな、迷ったん？』

「あ、はい…広くて迷っちゃいました」

小『俺も最初の頃は退屈で抜け出してたわ(笑)でも、多分もう少しで終わるから』

誰かの話を聞いているより、さっきから徐々に足の痛みが酷くなってそっちに気を取られてしまう。

テーブルの下を見れば、赤くなっていて、すぐに冷やせばよかったと後悔する。

ふと、向かいに座る彼と目が合えば、慌てて逸らしてしまった。

いつ、結愛さんに見られているか分からないし、できるだけ怪しまれないようにしないと…

席に戻ってからしばらく経って、なんとかお開きの時間になった。

小『あ～、今日もなかなか長かったな』

『望はいい加減慣れてもええ頃やろ』

小『俺、こういうの向いてへんもん。
黙って待っとるんが一番嫌い』

『ほんなら会長にそう伝えてくるわ』

小『え！それはあかんって。あ、Aちゃんも挨拶しに行く？』

「あ、はい」

二人について行こうと席をたった瞬間、

「いっ………」

足に力を入れたせいで挫いたところに痛みが走る。

小『Aちゃん、大丈夫？足、赤なってる』

「…さっき戻ろうとしたら、誰かとぶつかって挫いてしまって…」

痛みが増したせいで、思うように立てない。

『なんですぐ言わんねん。望、すぐに救急箱持ってきて』

小『わかった』

『動くなよ』

「へっ、ちょっと…！」

彼によって宙に浮いた体は、いきなりの事で混乱する。