飛蝶 - 最愛の人 - (ページ19)

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コンコンっ、

次の日、彼に呼ばれて部屋に入ると、中にいた部下たちを外に出るよう伝えて。

『色々、今までの経歴とか調べた。
…ほんまに家族とは関わってないみたいやな』

母が今の父の所に行ってから、たまに連絡を取るくらい。

向こうの家族とは顔合わせ以来、会ったのも数回だけ。

『親に頼めば500万くらい簡単に返せたやろ。ましてや、対立する組に娘が世話になるなんて知ったら黙ってへんやろうな』

この事は誰にも言ってない。

私がここにいることを知ったら、間違いなく問題になるから。

『まぁ、こっちとしては有利な状況にはなるし。そっちのが、自分も都合ええやろ』

彼の言う通り、黙ったここで働いて返済を終わらせた方が楽だ。

私の苗字が未だに母の旧姓なのも、この世界の人達と関わりたくないから。

力で全てが決まり、弱いものは潰されていく。

こんな怖い世界に居続けるつもりはない。

『やけど、ここに置いておく代わりに、Aにはルールを与える。』

「ルール、？」

『この家を出入りする時は誰かと一緒におること。ここでの話は一切口外せんこと。最後に、』

『家族である、神山組の誰か一人でも、ここにおることは知られやんこと』

たった、3つのルール。

なのに、一つでもミスをすれば大事になりかねない。

「…わかった」

自分の身を守る意味でも、この組の人達に危害はくわえない。