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「!?」


政宗の一言に驚いたのは燭台切だけでは無かったらしく、黙って様子を見ていた小十郎も、そして木陰で休んでいた成実でさえも、目を丸くして、自分達だけで話を進める二人を交互に見た。


『おお、そりゃありがたい!』

「ちょ、ちょっと待って主!」


燭台切が卯月の腕を引き、一度政宗から離れる。


「聞いてないんだけど…!?」

『言ってないからな。』


燭台切は頭を抱えた。

この様子だと、他の男士達は勿論の事、近侍である山姥切国広にも知らせていないのだろう。


(…帰ったら山姥切君に胃薬を持って行こう。)


燭台切は内心で部隊長の胃を案じ、胃に優しい料理は何かあったかと、一人、思考を巡らせた。


一方、一人残された政宗は、早足で近付いてきた小十郎と成実の方を見た。


「おい、政宗……」

「なんだ。何か問題でもあるか?」

「問題でもあるか、じゃねぇよ!そんな、いきなり現れた素性の知れない奴ら、城に入れちまって良いのかよ…!?」

「そうだぞ、政宗。命の恩人とは言え、まだ敵軍の間者でないと決まった訳ではないだろう。」

「だからこそ、だ。」


焦りを浮かべる二人に対し、政宗は至って冷静に、言葉を続ける。


「敵か味方かわからない以上、まだ様子を見るしかない。」

「…だから、敢えて彼らを城に入れ、近くで監視しておく、と言う事か。」

「ああ。」

「いや、でもさー……」


小十郎と成実が不安げに顔を見合わせる。

政宗も、二人の言わんとする事が分からない訳ではなかった。

そしてそれは、二人も同じだった。

現状、様子を見る、というのが一番得策なのは確かだ。

しかし、素性の知れない相手を城に招き入れるという事に、不安や警戒心を抱くのも当然だろう。

事が起こってからでは遅いのだから。

暫しの沈黙が続いた後、小十郎が深く溜め息を吐いた。


「全く…お前はいつもそうやって一人で突っ走って……だが、一度言い出した政宗を止める事は、俺達には出来ないからな。」

「だな。ま、いざとなっても俺達なら何とかなるだろ!」


二人の顔からは、既に不安の色は消えている。

その様子に、政宗はそっと、口元を緩めた。


(そうだ。俺達なら、きっと……大丈夫だ。)


そう、心の中で呟いて、再び、離れていった卯月達に視線を向けた。


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捌→←陸



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夜霧 - 面白い (2018年6月24日 15時) (レス) id: d12e91b5f7 (このIDを非表示/違反報告)
ユキナ - おもしろかったです♪更新頑張ってくださいねq(*・ω・*)pファイト! (2018年3月10日 16時) (レス) id: 0f45599fe0 (このIDを非表示/違反報告)
お母さん(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください! (2018年1月8日 2時) (レス) id: 335a7d9d6b (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - とても素晴らしい作品ですね!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2017年12月25日 16時) (レス) id: a78c622004 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クレイン | 作成日時:2017年12月25日 15時

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