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燭台切が時間遡行軍を倒したのを確認して、卯月はその場へ顔を出した。

その時、ドクン、と、心臓の高鳴りを感じた。

口元が緩むのを抑えられず、その場には不釣り合いな笑みを浮かべてしまう。

狐の面の下で細められた目が、そこに居た眼帯の人狼…伊達政宗を捉える。

先程卯月は、森の中に入り込んだ時間遡行軍の霊力を探る時、それとは別に、“見知った”霊力を感じていた。


(まさかとは思ったが、本当に居たとはな。…と言う事は、此処は伊達領か。また随分と懐かしい所に…)


そう考えつつ、乱れた髪をさり気なく直す燭台切に声を掛けた。


『お疲れ、色男。』

「…主、その呼び方はちょっと恥ずかしいかな。」


髪を弄っていた手を下ろし、燭台切は複雑な表情を浮かべた。

それに構わず、卯月が話を始める。


『薬研の方も、上手くやってくれたらしい。奴らの霊力が完全に消えた。』

「それじゃあ、今ので本当に最後だね?」

『ああ。慣れない地形での戦闘、良くやってくれたな。
…お前には…いや、お前だけじゃないな。皆にはいつも、私の“我が儘”で無茶をさせてしまっていて、本当に申し訳なく思っている。』

「やめてくれ、主。らしくないよ。
それに、君のその“我が儘”に応えて歴史を守るのが、僕達の役目だろう?」

『…そうか。すまないな、燭台切。やっぱりお前は色男だよ。』


自分の目線より上にある黄色い眼を見上げ、話をしていると、卯月の視界の端に、此方へ近付いてくる政宗の姿が映った。

卯月が其方へ向き直り、笑いかける。


『災難だったな。怪我はないかい?』

「ああ。一人やられたが、大した傷ではない。」


木の陰に腰を降ろして呼吸を整える成実を横目に、政宗がそう告げる。


『そうかい、そりゃあ良かった。
ところで、一つ、聞きたい事があるんだが…』

「なんだ。」

『この辺りに、大人数で泊まれる様な宿、なんてのは無いかな?』


その言葉に、燭台切が目を見開く。

当然だ。今回の出陣が決まってから今に至るまで、この世界に泊まるなどという話は、卯月からも、近侍であり部隊長である山姥切国広からも、一切聞かされていなかったのだから。

燭台切が口を開く前に、政宗が言葉を発した。


「それなら、うちの城に来れば良い。」


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漆→←伍



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夜霧 - 面白い (2018年6月24日 15時) (レス) id: d12e91b5f7 (このIDを非表示/違反報告)
ユキナ - おもしろかったです♪更新頑張ってくださいねq(*・ω・*)pファイト! (2018年3月10日 16時) (レス) id: 0f45599fe0 (このIDを非表示/違反報告)
お母さん(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください! (2018年1月8日 2時) (レス) id: 335a7d9d6b (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - とても素晴らしい作品ですね!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2017年12月25日 16時) (レス) id: a78c622004 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クレイン | 作成日時:2017年12月25日 15時

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