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視界いっぱいに広がる“黒”に、政宗は目を見開いた。

自分達を殺しに来ていると思われる化物の攻撃を防いだ“それ”は、そのままの勢いで敵の身体を弾き飛ばした。

そして、足元をふらつかせる化物に暇を与えず、その身体を両断した。

崩れ落ちた身体が黒い煙となり、消えた。

突然の出来事に、三人共呆気に取られている。

“それ”が、政宗達に向き直った。


「大丈夫かい?」


竜のような黄色い瞳と目が合う。


「……ああ。」


未だに状況を理解しきれていない三人とは裏腹に、木々の向こうから、呑気な声が聞こえてきた。


『燭台切、終わったかー?
……っと、やっぱり出会ったか…』


狐の面で目元を隠した人物が、複雑そうな、けれど何処か楽しそうな様子で呟く。

その人物を見た政宗が眉根を寄せる。


「お前……」

『おや、私かい?』

「………いや、何でもない。」


首を傾げるその人から目を逸らし、政宗はふと浮かんだ疑問を胸中で唱えた。


(何処かで会った様な気がするが……気のせい、か?)

「政宗。」


先程自分達の窮地を救ってくれた黒い男と何やら話しているその人を横目に、一人思案していると、いつの間にか隣りに居た小十郎が、小声で話し掛けてきた。


「…なんだ。」


ハッとし、短く返事をする。

話をする二人に聞こえないくらいの声で、小十郎が政宗に耳打ちする。


「彼ら、どうする?お前の命の恩人をこう言うのは何だが…正直、怪しすぎるぞ。」

「…。」


小十郎の言う通り、政宗も彼らを疑っていない訳ではなかった。

二人共、月牙族でない事は見て分かるが、先の戦いで見せたあの動きからして、只者でない事は明らかだった。

更に、此処は伊達の領内である。

もし仮に彼らが他軍の間者であり、その軍の武将の指示で、この場所に偵察に来ているとするならば、今すぐにでも捕らえ、情報を吐かせる必要があるだろう。


「……少し、様子を見る。」


そう言うと、政宗は話し込んでいる二人へと近付いた。


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夜霧 - 面白い (2018年6月24日 15時) (レス) id: d12e91b5f7 (このIDを非表示/違反報告)
ユキナ - おもしろかったです♪更新頑張ってくださいねq(*・ω・*)pファイト! (2018年3月10日 16時) (レス) id: 0f45599fe0 (このIDを非表示/違反報告)
お母さん(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください! (2018年1月8日 2時) (レス) id: 335a7d9d6b (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - とても素晴らしい作品ですね!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2017年12月25日 16時) (レス) id: a78c622004 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クレイン | 作成日時:2017年12月25日 15時

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