【QK】小瓶を覗く (ページ16)

今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:3,178 hit

8 愛を紡ぐ音_izw ページ16

QuizKnockのライターの1人に、幼馴染のAというライターがいる。

彼女は俺がQuizKnockを立ち上げたいと初めに言った人だった。
｢いいじゃん！私もやりたい！｣
彼女は俺のやりたいことを何一つ否定せず、一緒に楽しんでくれていた。俺が自信を無くした時には、一緒に悩んで寄り添ってくれた。

…Aを一生大事にしなくちゃいけない、と心から思った。

だから俺の精一杯の告白を泣いてOKされた時は、本当に本当に嬉しかった。

Aとの接し方は、付き合う前と後ではさほど変わらなかった。

｢拓司くん、新しい曲が出来たから一緒に歌って！｣

作曲の才能を持つAは、新曲が出来る度に俺を家に呼んで2人だけの弾き語りライブを開催した。Aはピアノ、俺はギター。

奏でられるメロディー、そっと添えられた歌詞はとてもアマチュアとは思えないハイセンスなものばかりだった。…多少の贔屓目はあるかもしれないが！

そんなある日、Aはいつものように自宅でピアノを演奏してくれたのだが、

｢ん、それって。元からある曲でしょ｣
｢確か名前は…『亡き王女のためのパヴァーヌ』。｣

Aは鍵盤の上に指を滑らせながら、嬉しそうに｢あたりー｣と呟いた。

｢綺麗な曲だなあって｣
｢うん…｣

この時Aがこの曲を弾いていたのも、何か1つの運命だったのかもしれない。

『亡き王女のためのパヴァーヌ』を聴いた数日後、Aは交通事故にあった。