【QK】小瓶を覗く (ページ14)

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6 悪ふざけしないで_ymmt ページ14

「目瞑ってて。最後の仕上げ」
そう言われると同時に、左手を手の甲を上にして90度持ち上げられそのまましばらく手を繋いだまま静止させられた。

「山本さん？」

私が名前を呼ぶと、慌てたように今度は右側の手の甲を持ち上げられる。そして、薬指に何か冷たい感触が伝わった。第一関節、第二関節と通り、最終的に指の付け根でそれは止まった。目を瞑っていようがその冷たさの正体が否応なしにわかってしまい一気に頬が赤くなる。

「いいよ」
「綺麗…ありがとうございます」

ピンクゴールドの指輪が輝いていた。

「よく似合ってるよ。『僕の』Aちゃんが1番可愛い」
「えっ」
今までそういった類の言葉は言われなかったものだから、突然の「可愛い」発言についグラッときそうになる。
本当にやめてほしいが、かく言う山本さんの顔も真っ赤なので慣れていないのはお互い様のようだった。

「あとさ、」
山本さんがどんどん近づいてくる。その距離数センチ。恥ずかしさのあまり目を瞑った。

「左手、ちゃんと開けといてね」

耳元で小さくそう囁かれた。いつもと違う深い低音。耳にバリバリと響いていよいよ心臓がどうかしてしまう。

「下で待ってるよー」と言い残して山本さんは部屋から出て行った。心拍数が未だ戻りきらないまま撮影部屋に戻ったのは、それから数分後のことだった。