【QK】小瓶を覗く (ページ11)

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5 日々_izw ページ11

こうちゃんと本当に仲良いよね」
「そうですね、良い友達を持ちました」
普段こうちゃんの前では絶対に言わないが、こうちゃんは私にとって良きライバルでもあり、大切な男友達なのだ。

…本人の前で言えばきっと何か面白いリアクションをとってくれそうだが。

「…俺にも勝機あんじゃん」
「？何のですか」

答えがわからぬまま沈黙が流れる。耐えきれなくて少し冷めたコーヒーを忙しなく口にした。部屋が暗くなってきたので、そろそろ照明を点けたい。

飲みながらちらりと隣に座る伊沢さんを見ると目が合った。すると伊沢さんは微笑んで、「可愛い」と一言。一気に心臓が跳ね上がった。

「A」
伊沢さんは私のカップを取ると、そのままテーブルに置いた。その動作をしながらも目線はずっと私の方を向いていた。

「俺はさ、本当に卑怯な男だよ」

「正々堂々勝負してる奴もいるってのに」

「わかってる、わかってるんだけどさ…Aが誰かのものになる前に、俺のものにしたい」

「……大好きなAを、独り占めしたい」

頭や頬や首筋を撫でられながら、独り言のような伊沢さんの告白を聞いていた。鼓動が速くなる。きっと顔の温度も上がって、目に見えるくらいに赤くなっているんだろう。

「…いい？」

俯いて小さく頷いた。恥ずかしくて目も合わせられない。

「あぁもう、ほんっとに可愛い」
気付けば伊沢さんの胸の中。意を決して顔を上げると、また目が合った。

今度は両頬に手を当てられる。なんとなくこの後の展開が予想できて反射的に思わず目を瞑ると、何も起こらず。嵌められた！
「キスされると思った？」
ちょっかいをかける時のいつもの表情。でもこれは私1人だけが知ることができる特別な表情でもあるのだ。

「しょうがないなぁ」
なんて、彼は嬉しそうだ。
「恥ずかしいので早くしてください」

話をしながら段々伊沢さんの体重がこちらにかかる。耐えきれなくなりソファーに倒れると、伊沢さんは待っていたかのように「じゃあお望み通り」と言って私にキスをした。