1 眠気_ymmt ページ2
企画が1つ終わり、暫く休憩時間となった。皆が一斉にヒーターに集まって来たので、場所を譲る。少し離れた体育館の床に座った。ずっとヒーターの近くにいたせいか、余計に寒く感じる。
ファルコンさんに貰ったカメラをノートパソコンに繋げ、画面の確認を始めた。
「凄い薄着だね、寒くないの？」
福良さんがもう一枚上着を羽織りながら尋ねた。
「寒いですけど、諸事情で上着持って来れなかったんですよー…」
というのは、友達に貸したまま帰ってこない、所謂借りパクだ。しかもよりによってこんな日に…！
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「いつもありがとう」
左頬に突然温かみを感じる。何かと思いそちらを向くと、缶コーヒーを持った祥彰くんがいた。
「え、いいの？ありがとう」
冷えた身体に染み込んでいく。胸のあたりがぽかぽかしてきた。
「動画見せて！」
隣に腰掛けた祥彰くんの距離が心なしか近い気もする。どうしようもないので考えるのはよそう。
「ここ祥彰くん早かったねー読ませ押し決まってるしカッコよかった！」
「本当に！？嬉しいなぁ」
祥彰くんの笑顔は本当に魅力的だと思う。嬉しそうにしているのを見てこちらも自然と笑みが溢れた。
「寒くない？上着持ってないの？手も冷たい」
お互い顔を合わせて笑っていた所に、突然祥彰くんが私の手を握ってそう尋ねた。
「えっ、えっ？うん…」
祥彰くんの手が温かい。心臓が跳ね上がるのを感じた。
「これで良ければ貸すよ！」
そう言って祥彰くんは自分のベンチコートを脱ぎ、私の肩に被せた。
「じゃあ、次の撮影あるから行くね！」
「あっ、ありがとう！」
体育館の寒さは、いつしか気にならなくなっていた。
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作者名：スミレ | 作成日時：2020年2月1日 1時
