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そろそろ寝るかなあってときに、スマホが震えだした。


「もしもし?」
「もしもし?大ちゃん?」
「うん、どうした?」
「いや、別に…いま暇かなあと思って」
「当たり、寝ようかなあって思ってたところ」
「あ、ごめん…」
「いやいや違う、別に明日早いわけでもないし」
「そっか…じゃあちょっとだけ話したい」
「うん、話そ」
「…って、話すことないんだけどね」
「ははっ、何にもないのかよ、…んー、今日は?仕事?」
「うん、雑誌の撮影。外で撮ったんだけど、めちゃくちゃ寒かった」
「今日寒かったよなあ、そろそろヒートテック出そうかなって迷った」
「は?!まだ出してないの?」
「え?もう着てるの?早くね?冬越せる?」
「越せないよ、寒い。冬眠しそう」
「ははっ、熊かよ」
「もはや熊になって春まで寝たいね」
「冬眠ってどういう感覚なんだろうな」
「さあ…想像つかないな」
「んね」
「…………」
「…………」
「………だいちゃん、」
「ん?」
「……会いたい、」


確かに耳元でそう聞こえた。
珍しいと思ったんだ、山田が用もないのに電話してくるなんて。
でも、なにも言わないから黙って聞いていたけど、やっぱり何かあったんだ。


「待ってて」
「へ…?」
「今から行く、待ってて」
「いや、あの、ちが、」
「俺も会いたい」
「っ……」
「だから行きたいんだけど、だめ?」
「…だめ、じゃない……」
「ふは、よかった。電話繋いだままにしとく?」
「うんっ」
「おっけー」


顔は見えないけど、たぶん嬉しそうに笑ってるんだろうなと思ったらすぐに会いたくなった。
適当な格好に着替えてタクシーに乗り込む。


「うれしいな、会えるの」
「俺も」
「着替えなくちゃ」
「いいよ別に、行くっつっても明日も仕事だし一緒に寝るだけだけど」
「だいちゃんの前では100%でいたいの」


あー、、、かわいいな。胸がきゅんとした。


「そこ曲がってください」
「あ、もうすぐ着く?」
「うん、いつもんとこ曲がるところ」
「了解」


タクシーを降りると、見覚えのある姿。


「迎えにきてくれたの?」
「うん、早く会いたかった」
「薄着すぎ、風邪ひく」
「大丈夫だ、って、ば…、」
「家まで抱きついてくよ」
「…………いいよ」
「っ……ああ、もう、なんでそんなに可愛いの」


今日の山田に完敗。



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作者名:レン | 作者ホームページ:https://twitter.com/_15957  
作成日時:2021年11月15日 21時

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