ytym ページ14
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「え?山田のスマホGPS入ってんの?」
「うん」
「なんで?」
「なんでって…不安だから交換しようってなって、いいよって」
「別にやましいことなくても、常に居場所バレるの嫌じゃない?」
「そう?やましいことないならいちいち報告する方がめんどくさい」
山田の頭はおかしくなったのかと思った。
付き合っている裕翔とGPS交換してるんだって。
こんな年になってすることなのかって俺は思ってしまうけど。
「そもそも報告ってなにすんの?」
「んー、誰といるとか、どこにいるとか?言わないと拗ねる」
「じゃあ今も俺といること言ってるんだ」
「うん、まあメンバーだとわりとゆるいけどね」
「ゆるいってなんだ…」
もうわけがわからない。
俺には想像できない世界。
「あ、裕翔迎えにきてくれるってー、やったあ」
「よかったね」
「ほら、GPS交換してると言わなくてもきてくれるから楽だよ」
伊野尾ちゃんも雄也と交換したら?って何食わぬ顔で言われた。
「俺はいいかな…」
「なんで?」
「なんでって…全部言えるのも一種の信頼関係だと思うけど、言わなくても信じていられるっていうのもいいよ」
「へえ…なんか難しい」
「まあそれぞれの形があるからね、山田はそれで幸せなんでしょ?」
「うん、わりと毎日幸せに生きてます」
「じゃあ俺も嬉しいよ」
そんな会話をしていたら、あっという間に裕翔が迎えにきた。
「いのちゃん、やまが可愛いからって変なことしてない?」
「さあね〜?」
って、ふざけてみると、
「ごめん、いのちゃんでもそれは許せない」
「嘘だって、まじで嘘、山田に聞いて」
「うん、俺なんもされてないよ、楽しく飲んでただけー」
「ならいいや!」
俺を睨むように見たと思ったら、山田の発言によって一瞬で笑顔になる。
メンバーだとゆるいのは信頼されてるからではなく、メンバーだと自分で牽制できるからゆるいんだと俺は思った。
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作者名:レン | 作者ホームページ:https://twitter.com/_15957
作成日時:2021年11月15日 21時