5つの星と転生令嬢～ごく普通の高校生(彼氏持ち)がお嬢様になっちゃった！？～ (ページ6)

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5話ページ6

そう、普通の貴族令嬢ならそう思うところだが、私は違う。

自分が侮辱を受けるのは少しイラッとはするが、別に制裁を加えるほどでもない。

私は本当にムカつくのはメアリーが貴族としての在り方に逸脱していること。

誇り高い私にはどうしてもそれが許せないのだ。

それゆえ、

「メアリー様のお家をどうこうしよう、なんてそんな野暮な事は致しませんわ。侮辱されたのが悔しい訳ではなく、私はただ彼女の貴族としての気品の無さに憤慨しているだけでございますもの」

「流石はA様！寛大なお心をお持ちですわね。しかし、ここで制裁を加えないとなりますと、他の令嬢方に示しがつきません。ですから、形だけでなにか罰を与えませんと、Aの名が廃れます」

そう厳しく忠告してくるのは、取り巻き筆頭、レイシュア侯爵令嬢。

親同士も仲が良く、信頼を置いている人物だ。

「ええ、勿論よ。何かしら示しがつく程度に罰を与えるのは承知の上。ただ大袈裟にはしないという意味ですわ」

普通に思ったままを言っただけなのだが、不機嫌になったと勘違いされ、途端に謝罪の言葉を述べられる。

「出過ぎた発言、失礼致しました...」

「いいのよ。全く気にいないし、むしろいつも助けて頂いて感謝しているわ。レイシュア」

斜め後ろの彼女の肩に手を置き、耳元で素に戻った話し方をすると、レイシュアの顔は一瞬ほころんで、それから「ありがとうございます」と言った。

彼女の穏やかな素の笑みは久しぶりに見たので、嬉しくなったが、彼女はすぐ様それを元に戻し続けた。

「それで、罰の方は如何しましょうか」

うーん。

「...そうだ！良い案を思いつきましたわ。メアリー様にこれからの態度を気をつけて頂くと同時に、罰も与えられる一石二鳥の案！」

「まあ、本当でございますか！？」

「ええ。けれど、これは貴方達のお力もお借りした方が良いと思うのです。どうでしょう？ご協力して頂けますか？」

「はい！もちろんでございます」

「A様のお頼みとあらば喜んで！」

ふっふっふ。この取り巻き令嬢達...ちょろいわね。

「それでご案というのは？」

「ふふ、早速、お話するわね。私が考えた案というのは...メアリー様に私達が貴族のマナーというのをお教えする、というものよ！！」

これ以上の案はない、と言うくらいに決めポーズで発表してみせる。

「...はあ！？」

けれど、帰ってきたものは淑女とは似つかわしくない叫び声だった。