5つの星と転生令嬢～ごく普通の高校生(彼氏持ち)がお嬢様になっちゃった！？～ (ページ4)

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3話ページ4

侍女達に手伝ってもらって、湯浴みと着替えを済ませ、お父様へお部屋へ向かう。

風呂はデカかった。想像以上に。

お湯がはってある湯船だけで、前世の私の部屋以上の広さぐらいあるのでは、と思うくらい。

そして何より、炎系魔術を得意とする者達によってお風呂は一瞬で温まり、その光景といったら妖精が舞っていると言っても誰も疑わないくらいに綺麗なのだ。

今までは当然だったことも、記憶を取り戻すと改めてこの国の常識に驚く。

なんかよくわからないけど、私も魔術を使えるみたいだし、本当にびっくりだわ。

とまあ、そんな考え事をしていたら、いつの間にかドアの前で立ち止まっていたようで、侍女が声を掛けてくれた。

「お嬢様？如何なされました？何か、心配事でも...？」

「...いえ、なんでもないわ。少し考え事をしていたのよ。それよりお父様はこちらにいらっしゃるのよね」

話をそらすように答えてみせると、侍女はこくりと頷き、私の代わりにノックをする。

「旦那様。A様がいらっしゃいました」

「通せ」

「畏まりました。さ、どうぞお入りください」

「ええ」

何だか緊張するわね。

「失礼致します。お父様に置かれましてはご機嫌麗しく...」

「堅苦しい挨拶は良い。それよりも、体は大事ないのか？お前が倒れたと聞いてどれほど心配したか...痛いところはないか？気分は悪くないか？」

そわそわした様子でそう訊いてくる我が父は、誰がどう見ても親バカと呼ばれるあっち系の人だ。

「問題ありませんわ。お父様。そんなに心配なさらなくとも、私は大丈夫です」

「心配されるのは嫌か...？」

今度は本気で嫌われた様な表情を浮かべて、しょんぼりしてしまう。

めんどくさいな！！

これがセイシャナル王国の宰相だと思うと、泣けてくるわね...。

はあ。

「お父様。私はただ心配のしすぎだと申しあげただけにございますよ」

「ほ、本当か！？ならば、良かったが」

「はい。お父様はこの国で最高のお父様です」

ちゃっかりとご機嫌取りも忘れない私。

何て素晴らしいの。

「では旦那様、お嬢様はこれにて失礼致します。明日は学校もありますし、早々にお休みさせます」

「ああ、頼むぞ」

学校...。

あのメアリーがいるところね。

正直彼女とは関わりたくないけれど、そんなこと言ってられない。

今世こそは彼女を倒して、絶対に幸せになるって決めてるんだから！