10話 ページ12
目の前に立つ、金髪碧眼の美少女を見つめながら、私は思う。
ゲームの彼女の「設定」は多少なりと、美化されていたようだと。
彼女の境遇に、現世のいちゲームプレイヤーだったその時は、思わず感情移入してしまったけれど。
立場をわきまえない彼女の扱いは、この王国では当たり前の事だ。
だいたい、婚約している人に近づくのはどこの国でも失礼な行為。
まあ、でも、きっとその型に囚われない行動が、第二王子...ロレンツォ様の心を掴んだでしょうね。
私だって恋仲を切り裂く悪女じゃないから、彼にはもちろん、メアリーにも愛する人と結婚して欲しい。
だから、彼女達が本当に結婚を望み、彼女達の実家がそれを了承するならば、私も喜んで身を引くだろう。
けれど、メアリーとロレンツォ様が結婚する上で、一つ問題がある。
(メアリーに政治的価値がないこと...)
これが一番の問題。
確かに、過去にも数名ほど、子爵令嬢が王子の妃になった例はある。
だが、それは次期国王となる王太子が決まっている時の話。
今の王国の情勢では、王子に高位の家の娘を迎えることが求められている。
妃の実家がそのまま、自分の後ろ盾となり、自分の発言力を高めるからだ。
発言力が高まるということは、その分権力、高い地位につけるということ。
現在、この国では王太子が決まっておらず、第一王子、第二王子の2名が候補に上げられている。
生まれは伯爵家と身分は低いものの、国王の正妃である母を持つ第一王子。
対して、側妃ではあるが、古くから続く名門侯爵家の娘を母に持つ第二王子。
次期王の座を巡ってこの2人が、熾烈な王位継承争いを繰り広げているのだ。
だから、王宮には進んで入りたがる人がいず、どこへ行っても殺伐としていて気味が悪い。
だが、数年前までは当人同士で行われていた争いも、今は王国の貴族を巻き込んでの争いに変わってきている。
理由は簡単。
4年前にレイフォード公爵令嬢と第二王子との婚約が発表されたからだ。
国の筆頭貴族レイフォードの名はやはり、伊達ではなく、その時は直ぐに第二王子に軍配が上がるとは思われていたが。
実際はそうもいかなかった。
というのも、お父様が国王陛下をお止めしたらしいのだ。
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花音 - 初めまして♪凄く面白かったです( ≧∀≦)ノ続きがとても気になります( ;`Д´)これからも応援してます(^○^) (2021年2月2日 0時) (レス) id: c9954f1e86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:碧海 | 作成日時:2019年2月4日 23時