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スマホを捨ててしまったことを

お母さんには言えなかった。





言わないわけにはいかないだろうけど、

もうInstagramもやらないし、

連絡を取り合う友人もいないし、

今すぐ手元になくても

何も問題ない。




どうして捨てたのか、



本当のことを説明するのは



大変すぎたし、



嘘をつくのも嫌だった。






せめて私自身の気持ちが落ち着くまでは、




何も言わずにいようと思っていた。





でも、





その日の夜、






一階からおしゃべりが聞こえてきた。




テレビの音ではない、





賑やかな聞き覚えのある笑い声……。







わたしがハッとして階段を駆け下りると、




ダイニングの椅子に座って夏恋が




お母さんと話をしていた。






「夏恋……」




夏恋は私をちらりと見て、

またお母さんと話し始めた。



夏「ほんとどうする気だったんだろう、信じられない」

母「でも、Aが何も話さないのは、いつもの事だから、おばさん慣れちゃったわ」

夏「だって
スマホなかったら、大変じゃん!わたしだったら、大騒ぎするけどな」


わたしはテーブルを見て驚いた。


昼間私が用水路に捨てたスマホが


保存用ビニール袋に入れられて


置いてあったのだ。





夏「とりあえず、電池パックとSDカードは抜いて別にしておいたから。これ持って行けば、新しいのと取り替えてもらえるよ」


「どうして……」


夏「まぁ、いくらかかかるだろうけど、1から買うよりは安いって」


「どうしたの、これ……。どうしてここにあるの」


夏「涼太が膝まで水に浸かって、探し出したんだよ」




わたしは驚きのあまり声も出なかった。





母「え?涼太って誰?もしかして、うちの前まできてたあの男の子?」

「お母さん!もういいから!」




私は余計なことを言うお母さんを

あわてて制した。



そして、


夏恋の腕を掴んで引っ張った。



「ちょっと夏恋、私の部屋で話そう。ね」



私の慌ててふためく様子を

お母さんが面白そうに見た。




母「なに動揺してるの」

「もう、いいから!」



訳が分からないという顔のお母さんを

ダイニングに残して、



わたしは夏恋を連れて



2階の自分の部屋に駆け込んだ。

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作者名:ゆーか | 作成日時:2018年1月23日 19時

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