検索窓
今日:3 hit、昨日:6 hit、合計:100,772 hit

158 ページ12

「なにを?」


夏「なんで、Aと手を繋いでたの?って」




さすが、夏恋だ。


聞くとなったら、


ストレートになんの計算も駆け引きもなく、


正面からぶつかっていくんだね。




夏「そしたら、涼太さ、なんて言ったと思う?」


「……」


夏「『俺、実はさ、総合優勝したらAに告白しようと思ってたんだよ。でも、負けたじゃん。だから、告白できなくなっちゃって、悔しくてつい手を握っちゃったんだ』って」



体育祭の夜のことだ。



手をぎゅっと握られた時、



『どうしてこんなことするの?』



って疑問だらけだったこと、



よく覚えてる。




まさか、そんな風に思っていたなんて。





夏「Aのこと好きなの?って聞いたら、好きだよってサラリと言いやがったのよ、あいつ!」


「それいつ?」


夏「体育祭の夜。帰るときに、涼太つかまえて」


「うそ……」


夏「ショックだったよー。あっけなく、失恋決定。

しかも親友に取られちゃうなんて」


「取ってない!」



わたしは必死で打ち消した。


それにしても……


夏恋と涼太くんの間でそんな話になっていたなんて


全然知らなかった。




だいたい夏恋も、


そのあともそんな素振りも見せなかったし……。




夏「だからね、しばらくはAのそばにいるのが辛かったの。だから、期末の勉強も一緒にできなかった」


「えっ?」


夏「まぁ、ちょうどいい機会かな、

とも思ったんだよね。

わたし、

なにかあるとすぐAに頼っちゃうじゃない?

Aも助けてくれるし。

でも、

自分でできるようにならないと、ダメだなって」



夏「おかげで酷い成績で、まいったけど」



夏「なんか、色々ずるいことも考えたよ。

Aが涼太のことどう思ってるかわからなかったから

涼太がAに失恋すればいいと思ってたの。

A、涼太みたいなタイプ苦手そうだしさ」




いつも太陽みたいだと思っていた

夏恋ですら、

そんなことを考えたりするんだと

わたしは衝撃にも近い気持ちを抱いていた。




目の前の夏恋は

穏やかに話してくれているけど、

その表情を見ていたら、

一度は本当に苦しんだんだということが

伝わってきた。




「……」


夏「でも、やっぱり2人をずっと見てたらAも

涼太のこと好きなんだなって

気づいちゃった。

A、しょっちゅう目で追ってるんだもの、

涼太のこと」


「うそ」

夏「嘘じゃないよ。ずーっと見てたよ」

159→←157



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (370 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
524人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆーか | 作成日時:2018年1月23日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。