かくりよの宿飯 津場木葵の姉2

60話 貴女サイド ページ12

妾達が表で待っておると

葵が着物を着て出てきた

銀次「わあ、葵さん
やっぱり着物がお似合いですね」

『うむ、よく似合っておる』

葵「ありがとう
でも髪が邪魔なので結いたいの
たしか、大学の鞄の中に
あったはずなんだけど・・・」

座敷の上に置かれている鞄を探る葵

ごそごそと探っておったからか

大旦那から貰ったかんざしが

鞄の中から零れ落ちた

葵「あ・・・かんざし」

椿のつぼみの簪

鬼の面を被った大旦那だと知らずに

葵が弁当を手渡しておった

帰る時にその弁当箱の上に

置かれていたものじゃ

銀次「おや
それは紅結晶の簪ではないですか」

葵「紅結晶？」

銀次「非常に珍しい、動く結晶と言われる高価なものですよ。そういえばAさんも簪付けてましたよね？」

『これかぇ？そのうち話そう
葵や、その簪で結ったらどうじゃ？』

銀次「どれ、私が髪を結ってあげましょう」

葵「銀次さん、髪を結う事が出来るの？」

銀次「私は女にもなりますからね
女性の作法や仕草は勉強したのですよ」

そう言って銀次は少年の姿から

女性の姿に変化して座敷に上がった

『その姿も良いのぅ』

銀次「ありがとうございます」

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