Melody of Memory of Jade green (ページ10)

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＿放課後。

カーテンがヒラヒラ揺れてる、先輩たちのいない部室で

優しく、柔らかく、音が流れる。

今日はバイトがないゆりやんを部室に連れてきた。

ピアノ弾きたいかも、って。

誰か来るまではいいやろし。

―ショパン、ノクターン第二番

ゆりやんが、大人っぽく魅力的に見えて引き込まれた。

部屋に響く、音符の連なり

最後の1音、長く静かに美しく、響いた。

ゆりやんが手を離しても、余韻が身を包む。

しん、とした余韻。

…？

ふとした気配に振り返るとドアの隙間から目が合った。

亜生「あ」

ゆり「す、すみません、勝手に」

亜生「全然！ごめんな、なんか盗み聞きして…

でもいい時間でした！」

ゆり「え、あ…じゃあね！」

「え？」

ゆり「ほ、ほら！先輩も来たし！」

風のように、彼女は部室を去っていった

…何事？

亜生「A…これ…」

亜生先輩が、ピアノの脇においてあるカバンを指さす。

まじか、と思い、電話をかけてみるが、

音が鳴ったのはカバンの中から。

「…届けてきます！」

バスに乗ろうとしても何も持ってないなら帰れまい。

ダッシュで階段を下りる。

「ゆりやん！！」

捉えた人影に呼びかける。

ぴたり、と動きが止まった。

「どうしたん急に」

声をかけても、振り向かないゆりやんに再び声をかけた。

すると、バッと振り向くゆりやん

ゆり「どうしよう…」

「どうしよう…？」

ゆり「さっきの先輩…

…ひとめぼれしてもうたかもしれん」

「え？」

ゆり「わからん…どうしよう、どうしたらええ？」

「え…」

あまり恋愛には詳しくないし経験も浅い私が、

私よりは恋が多いゆりやんに何をアドバイスしろというん…

「…また来たらええやん、ピアノ弾きに。

それか、軽音部入る？今女一人やし…

ってバイトあるか…」

ゆり「入る！！入部届もらっておいて！！カバンありがとう！帰るわ！」

私の持っていたカバンを引き去り、また下にかけていった。

まぁ、衝動的な部分があるやつだ。

そのうち落ち着くだろう

部室に帰ると、

ギターを弾いていた亜生先輩が、渡せた？と聞いてきた

「はい、ちゃんと渡せました。」

亜生「にしても、、ピアノうまかったなぁ

兄ちゃんの後釜おらんからほしい人材かもしれんなぁ」

なんて亜生先輩が呟いた。