. ページ3
廊下を歩いていると、
部室棟こちら、との張り紙。
そしてその下には目当ての場所が書いてあった。
「この階段5階」
…っはぁ。
地道に一つ一つ階段をあがり
「4/5」と書かれた踊り場を上がると
あまり使ってなさそうな教室があった
パソコン室と…
そして、反対側には一つ部屋。
そこからかすかに聞こえる音へ、歩いていく。
「軽音部」
軽音部員、大募集中!
未経験OK!経験者も募集してます!
楽器出来なくても全然OK!
音楽好きな人なら!
待ってます!
是非ともッ!
___入部届けは3-A 三木まで。
防音されてるであろう部屋から聞こえる音は
やはりどう聞いてもレベルが高い。
…帰ろ。
置いてあったチラシを手にして くるり、と踵を返すと
屋上に繋がる階段に立ち入り禁止、の張り紙が目に入った。
私はドアノブを回す。
ぐるり、と屋上を見渡すとひとつのベンチを見つけた。
まるで、景色を見るために置いてあるような。
そのベンチに腰をかける。
いいな、ここ。
1人になれるし、バレたくない時ここに来てサボったりしよっかな…
くるくる、と回るように春風が私を包む。
すっ、と息を吸えば、かすかに暖かい味がした。
＿汽車をまつ君の横で、僕は時計を気にしてる
＿いま、春が来て君は綺麗になった
＿去年よりずっと綺
「れ……」
ぶわっ、と吹いた風が私の持っていたチラシを連れ去って
反射的に振り返ると、
チラシの飛んでった屋上の入口にいたのは、
金髪、長身、制服を着崩した男子生徒。
いつの間にいた？？？、ってか
ヤンキー？
ここは彼のお気に入りなんだろうか。
そうきっと、彼も、誰にもバレたくない場所…
ホンマに立ち入らん方良かったやん…
立ち入り禁止、、ってもしかして彼がつけた、とか？
立ち上がって目を合わせないようにドアをめざして歩く。
…お願いやから、絡まんといて。見逃してくれ
「なあ」
ちょうど、距離があと3歩くらいになった所でそう言われ
思わず足を止めてしまった。
「…軽音部、興味あるん？」
「え？！あ、、ち、ちょっと、だけ…？」
「軽音部、入らへん？」
「え？」
「めっちゃ、歌上手いやん…
いやあの、ごめんなさい、盗み聞きするつもりはなくて…
あの…話だけでも…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 106人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「芸人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：七 | 作成日時：2020年4月24日 4時
