. ページ19
はっ、とすると目に入ったのは相変わらずの雨。
…なんやねん。私…
あの日の余韻にたっぷり漬かりまくってた。
それほどRunny Noizeは魅力的で、最高だった、ってことだけど。
いつもよりも、何倍も何十倍も、キラキラしてたなぁ…
健人先輩のギターをかき鳴らす姿が目に浮かぶ。
大村「誰のこと考えてたん?」
「え?」
大村「誰かのこと、考えてたんとちゃうん?」
「なんで?」
大村「だって、急に黙り込ん意識どっか行っとったやん」
「だって宇宙に意識飛ばしてたもん。
さっき宇宙行っててん。」
大村「えー笑」
一瞬、ドキッとした。
…いや、そんなわけ。
ジーニーの言う、何かを一緒にしたい人が、
つまり、好きな人が…
いや、そもそもその方程式おかしいって
何かを一緒にしたい=好き とはちゃうやん。
だってゆりやんとは遊びたいし…でも恋愛の好きじゃない。
けど、ジーニーが言ってた言葉を辿れば…
目でおってしまうとか話したいとか、一緒にいたい、とか…
違う。
まだ知り合ったばかりで知りたいことが多いだけや。
それに、目で追ってしまうのは魅力的だから。
だってそうやろ?
芸能人目の前にいたら目で追ってまうやん?
…違う違う。
すーちゃん先輩も昂生先輩も亜生先輩も、魅力的だから目で追うし
一緒にいたら楽しいし。
ほら、部室でいつも笑わせてくれるやん。
一緒に変なことしてくれるやん
ギター教えてくれたりするやん
一緒に歌ってくれたり……
「あ」
思い出される部室のこと。
よく目に映ってるのは1人ばかり。
いや、わかってたんよ。わかってた
けど、確信がないからちがうと思ってた
思い込ませてた。
…こんなん、確信に値するやん。
変な事言って笑わせてくれるのも
カラオケで一緒に変なことしたのも
屋上でギター教えてくれるのも、
一緒に歌ってくれるのも、
健人先輩だ。
彼が妙に魅力的に見えるのも
彼が魅力的なだけじゃなくて、確実に惹かれてたから。
…好き、か。私
妙に、腑に落ちた。
ジーニーの言葉がストンと堕ちる。
健人先輩と一緒にいたい
健人先輩と沢山話したい
健人先輩ばかり目で追ってるみたいやし
健人先輩のこと色々知りたい
……健人先輩と、歌いたい
.
雨が、弱まった気がする。
このままやめば、帰るの辛くないな、なんて思った。
106人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「芸人」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:七 | 作成日時:2020年4月24日 4時