Melody of Memory of Jade green (ページ14)

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＿＿あの日は突然だった。

部活中、楽器に飽きて屋上でダラダラしようと、

いつもの様にドアを開けようとしたら

微かに声がして

一瞬、戸惑ったけど音を立てないようにドアを開けた。

すると、

背を向けてベンチに座って見知らぬ少女が歌ってた。

儚くも芯のある歌声。

一瞬で惹き込まれた。

妙に惹かれてしまった。

なんでもいいから、関わりを持ちたかった

風が吹いて、彼女が持っていた紙が飛んできた時、

チャンスやと思った。話しかけよう、って。

それで、

拾った紙をみてびっくりして…

それでほぼ強引に軽音部に連れてきたようなもん。

あの歌声をみんなに聞いて欲しくて、

何度か歌ってみてよと言ったけどはぐらかして全然歌ってくれへん。

あの歌声秘めておくのは勿体ない、どうにかして引き出したい

そう思ってた。

そして後日、

あの日のように屋上のドアを開けると聞こえた歌声。

しばらく聞いていたけど、思わずハモリたくなって声を重ねた。

その瞬間、雷に打たれたような衝撃と、

抜け出せそうにない気持ちよさに包まれた。

秘めておくのはやっぱり勿体ない、

いや、それどころか

俺がこの声独り占めしたい。俺だけが重ねたい。

そう思って、

誰かに取られる前に、とユニット結成を申し込んだ。

けど、見られながら歌うのが苦手と言われた。

それじゃあかんねん…勿体ない。

それで慣れてもらうためということで、誘った。

カラオケなんて言うたら断られそうで伏せたけど…

そんなものは二の次で、

一番の理由はAの歌声を聞きたかったから。

それと…

なんか、洲崎とばかり仲良いのが癪に触った。

確かに洲崎とAは似通った所もあるし、

初日から話は合うてたみたいで、バイト先も一緒やし、

気が合う、ってそういう事なんやろうけど

なんか、悔しくて。

…Aの持ってる歌声がすごいっての俺しか知らんのに。

でも、俺全然Aのこと知らん。

出身中学くらいしか知らん。

誕生日とか家族構成とか、趣味とか好きなアーティストとか、

全然なんも知らん俺。

けど、洲崎はなんでも知ってるように思えてなんか癪で。

出身中学も洲崎から聞いたし。

正直、誘って正解やった

相変わらず歌は綺麗で上手いし、

ふざけた一面も見られたから。