April ページ2
ゆり「悩んどるんやったらいってきーや」
「え？ん…まぁそうやけどさぁ…」
ゆり「行かんで後悔するより行って後悔しいやって」
晴れて高校生となって2週間。
偶然、中学から仲良いゆりやんこと吉田有里と同じ学校同じクラス。
ゆり「何をそんなに悩んどるん？
もうすぐ体験期間も仮入部期間も終わるで？」
「そうなんやけどさぁ…」
いや、恐れ多い。
…なんてヘタレかよ。
入りたい、けど。なんか違う気もすんねん。
ぼー、っとあの日のことを思い出す。
…私が、ね。そんな。
あんなふうになれると思えへんの。
「ゆりやんは部活入らんの？」
ゆり「ウチはいいわ、バイトするし」
「バイトねぇ…」
ゆり「体験入部今週までやから、行くなら今日やで？
明日特別日課で部活ないらしいし」
「え？！聞いとらん！」
ゆり「もー、朝も帰りもホームルームで言うてたやん先生」
「スマホいじっとったわ…」
ゆり「よぉバレへんかったな」
「目離れではないからな。山名先生」
ゆり「秋山先生やったらバレとったなA。
…って、もうとっくに放課後やねん！終わるよ？！
行けや！」
「…とりあえず、チラシだけでも見に行ってみる」
部活のお試し期間である今なら、
部活動紹介の時にくばっていたチラシは部室にきっとあるはず。
あの時、呆気に取られすぎてぼーっとしててもらえなかってん。
とりあえずそれだけでも、と重く腰を上げた
ゆり「じゃ、帰るわ」
「え？一緒に行ってくれへんの？」
ゆり「今日バイトやもん」
「よぉダラダラに付き合ってたな？」
ゆり「5時からやから家帰ろうがここにいようが変わらんの」
「ならまだ時間あるから一緒に…」
ゆり「ウチはもうバス乗らなあかんねん、ほら行った行った！」
「えええ…」
嘘なんだかほんとなんだかよぉわからん。
ゆりやんに背中を押されて、渋々歩き出す。
ゆり「落ち着いていきやー」
ちょっと遠くなった頃、そう声をかけられて。
ばっと走り出したゆりやん。
…なんやねん、あいつ笑
にしても、部室はどこなんやろか。
部室棟、に向かえばええんかな…？？
けど部室棟ってどうやって行くん？
人まばらになった廊下。
廊下には私の歩く音ばかり、響く。
かすかに聞こえる、グラウンドの声。
耳をすましても、それらしき音は聞こえなかった。
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作者名：七 | 作成日時：2020年4月24日 4時
