4000 ~short story~

夜明け Hiroki.T ページ9

あと少し走ろうか。


を、何回思って走り続けてるんだろ


ただ行くあてもなく、アクセルを踏む俺。


隣に乗るAは、さっきまで「ただの友達」だった


そんな彼女を乗せて、ただただ、


街中の灯りから離れた場所を車で走ってるだけ


画面が1度、明るくなったスマホを


Aはコーデュロイのズボンに隠した。


…俺たち、そんなんじゃなかったもんな。さっきまで。


…数時間前まで。


もうすぐ来るであろう、都会の夜明けを窓から見つめてる


俺たちにとっては、特別な一日になってしまったのに


そんなこと気にしないで、夜明けはやってくる。


俺は窓を開けた。




「綺麗だよね」


都築「ん？」


「離れてみると、綺麗なもんだなって。街」


都築「そうだな。」


「でもきっと、この景色今だけだよね」


都築「え？」


「100年経ったら、どんな風になるんだろって思って」


都築「あぁ…全然違うだろな」




そしてきっと、この思い出も消えてしまうだろう


そう考えると、勿体なくて。


カーブを曲がって、また走って街中に近づいても


まだ俺は車を走らせていて。




「後悔してる？」


都築「全然。むしろ…大事な思い出だよ」




車窓に映る俺達が、映画みたいだ、ってことも。


大事な思い出で、後悔なんてひとつも。


きっと、夜明けはもうすぐだな。


今夜、どこまでいこうか。





都築「Aはさ、この先どうするの？」


「わかんない。けど、傍にはいられないよ」




それは分かってるんだ。わかってるけど、


そんなに悲しい顔をしないでよ


笑ってくれって。


100年経っても忘れないように。


ほら、街の灯りが徐々に明るくなっていく


真っ暗だった東京の街も変わっていくんだな。




都築「じゃあ、な」


「うん。またね」




彼女を降ろして、帰路につく。


さっきより、明るくなった街


ちょっとだけ、変わっていった。


俺たちも。


きっと彼女に会うことはもうないだろう。


けど、きっと忘れることはないだろう。


fin.


＿＿＿＿＿＿＿＿

菅田将暉さんの風になってゆく、より。


ワンナイトらしいけど、ちょっとアレンジ。


都築さんは、こういうオシャレな？恋愛似合いそうっていう偏見

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