4000 ~short story~

離せない。 Takumi.G ページ6

あ。星だ。


帰り道、まだ明るい時に見つけた星。


そう言えばAとよく、夕焼け見ながら帰ったっけ。


だから、夕焼けをみるとAを思い出すんだよね。




Aとの出会いは、ただ帰り道が同じ人。


駅から土手沿いを歩いて帰る。


マンションが同じ方向の、ちょっと可愛い人。


ただそれだけだったのに。


彼女が手帳を落としたんだ。


＿＿＿＿＿



後藤「あのっ！」




こんなに大きい声、出したことないんじゃないかって


そんな声が出た。


手帳を拾って彼女に駆け寄ると、


振り向いた彼女。


あっ…


その時、落ちたんだ。見事に綺麗に。


顔が赤いのは、夕焼けのせいにしておこう。




「あ、ありがとうございます」


後藤「いえ…」


「あの…いつも帰り一緒ですよね？」


後藤「えっ」




透き通った、綺麗な声。初めて聞いた。


気づいてたんだ。


意外と、上手くいくのかもしれない。




「いつも、同じだなぁって。」


後藤「僕もそう思ってました。家、近いんですかね」




そんなこんなで始まった君との出会い。


傘を忘れた日、彼女を待って彼女の傘に入れてもらったり。


電車をおりて改札抜けて、


夕方のオレンジに染まる彼女の背中を何度も追いかけて。


今日楽しかったこと、悲しかったこと


色んなこと話して、気づけば隣にいて。


好きで好きで、仕方なくて。


でも、ありがたいことに仕事が増えてきて、


彼女とここで会うことは減ってしまった。


それから、結構、経ったよなぁ。＿＿＿＿＿

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