保健室の。：赤 (ページ2)

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小さい頃から保健室の先生に憧れていた。
優しくて、頼りになって、居心地がよくて。

私もそんな居場所を作れるような先生になりたい。

そんな夢を追い続けて、22にしてやっと先生に。
先週まで東京の学校で務めていたが、訳あって大阪まで越してきて、今の学校に新任。

「ここが今日からお世話になるところかぁ」

前の学校と違って少し狭い気はするけれど、窓からはグラウンドの景色が見えて、生徒たちが頑張っている姿がよく見える。

「あ、あれさっきの…」

ぽーっとグラウンドを眺めると、朝会の時に騒がしかった男の子たちが見える。

「たしか重岡くんと、小瀧くん…？あと藤井くん！」

ドサーっと渡された全校生徒の名簿の中から、彼らの名前と顔を見つける。

今の高校生ってすごい、アイドルみたいにキラキラでかっこいいんだ。

なんて感心していると、ふと重岡くんと目が合って、直ぐにそらされた。

「…？」

具合が悪いのかな、新しい先生だから、保健室に行くのに抵抗があるとか？
彼の行動に、すぐさま心がモヤモヤと曇った。

おばあちゃんが言ってた。

保健室の先生は、生徒の体調管理や、傷を治すだけじゃない。
些細なことにも気づいてあげて、お話を聞いてあげなさいって。

よし、みんなに居心地がいいって思ってもらえるように、私頑張る！

強く意気込んで、デスクについた。