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8 修正版 ページ10

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「…そうか。
すまない、世話になったな。」

そう言ってベッドから降りて部屋を出て行こうとしたAの腕をミトは掴んだ。

「ちょっと、何処に行く気なの?
あなた怪我をしているのよ!」

「手当もしてもらったんだ、このぐらい後は放っておけば勝手に治る。」

「肋骨が3本も折れてるの……
肩の腫れと腕の刺し傷も酷いのよ。
そんな状態で何処に行こうって言うのよ?」

なかなか手を離す様子のないミトにAは困惑した。
無理矢理にでも離させてここを出るか……しかし、世話を焼いてもらったのにそれを無下にするのか。
ため息をついて、Aは真剣な表情でミトの目を見つめた。

「私はある連中に狙われている。
私がいる事で世話になったあなた達も酷い目に会うかもしれない」

「だから良い加減離してくれ」

Aはこれでようやく手を離す気になっただろうと踏んだが、その予測は外れた。

「…なら、尚更ここを出て行かす訳には行かないわ」

「奴らは人を平気で殺す連中だ」

そう言うとミトはビクリと肩を揺らした。
その拍子に掴まれていた手を振り解き、Aは部屋の扉を開けようとしたが、扉は勝手に開いた。

「ねぇ、さっきからなんだか揉めてるみたいだけど大丈夫?」

まだ幼い顔立ちをした少年だった。
きっと彼が、ミトが先程言っていた息子なんだろうと察した。
声を荒げた為か不安そうな顔をしていた。
Aはバツの悪そうな表情を浮かべ、少年の横を通り抜けようとした時、声が響いた。

「ゴン!
その子行かせないで!」

ゴンと呼ばれた目の前の少年が立ち塞がった。
子供相手に何かする訳にも行かず、Aはどうしたものかとその場に立ち止まる。
その後ろ姿にミトは静かに忍び寄り、怪我している箇所に触れないように優しく抱きしめた。
突然後ろから抱きしめられたAは、その場に硬直する。

「なっなんのつもりだ、」

「あなたがなんでそんな危ない連中に狙われているのかは知らない。
でも、だったらその怪我でここを出て行くのは危険よ。
せめて…1ヶ月はここで安静にしなさい」

「……」

ミトの湿っぽい声で言われ、Aは自分が泣かせてしまったように思えて居心地が悪くなった。

確かに彼女の言う事は一理ある。
シルバとゼノから逃げる際、彼等を牽制する為に必要以上のオーラを消費した。
そもそもあの力は燃費が悪く、今のAのオーラはかなり少なくなっていた。







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作者名:AS | 作成日時:2023年5月17日 7時

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