【H×H】メフィスの天秤 (ページ4)

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2 修正版ページ4

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降伏しろ、とシルバと名乗る男が言い切る前にAが動いた。
剣に自身のオーラを纏わせ、目の前の男目掛けて振るった。
書斎の重い机をいとも簡単に押し切ると、先程の攻撃を避けた男に再び切り掛かる。

それを軽々と避けながら、シルバはAを値踏みした。
まず最初に彼が感じたのは、美しいという少女の容姿に対する感想だった。

日焼けを知らぬ白い肌に、絹糸のような細くしなやかな白に近いブロンドの髪。
髪と同じ色の長い睫毛からは、エメラルドグリーンの瞳が覗いている。

(かなりの剣の腕だな。
この狭い部屋の中でよくもまぁ、剣を振り回せるものだ。
想像していたよりもだいぶ小柄だが、力もある)

(そして何より、"周"で剣に纏わせているあのオーラの質と量。
久々に良いものをみた)

シルバはAの攻撃を避けながら、前日に読んだ書物の内容を思い出し口角を上げた。

(仮に××××では無くとも素質は充分。
この娘、是非とも欲しい……！)

再び剣を振るおうとしたAの身体が不意に浮いた。
先程からずっと避けるばかりだったシルバに腹を蹴り上げられたのだ。

「カハッ…」

床に膝をついた彼女の目から、生理的な涙がこぼれ落ちる。

(肋が何本かやられた)

幸い折れた肋は肺に刺さってはいないようだが、息をする度に痛みが響き顔が引き攣る。
それでも立ち上がり剣を構えようとした瞬間、トンッと首に衝撃が走り、彼女はなす術なくその場に崩れた。
カラン、と握っていた剣が滑り落ち床に転がる。
　

突如、何もない所から顔に大きな火傷の跡がある不気味な男が姿を現し、シルバは眉を顰めた。
気配が一切しなかった。
男はしゃがみ込んで、気を失ったAを見ながら喋り出した。

「おお、こりゃあまた随分とお美しく育った。
旦那、かなり良い報酬になったでしょう？」

男の両手にはパンパンに膨れ上がった鞄。
閉まりきらなかったのか、空いた口からは明らかに高価であろう装飾品等が見え隠れしていた。

「ふん、確かに最初はふざけるなとは思ったが……。
悪くないな、この娘を報酬としていただこう」

そう男に返して、シルバは気絶させたAを担いだ。

「じゃあ、もう出ますぜ」

男がシルバの腕に触れながら何かをブツブツと唱えると、2人は吸い込まれるようにしてこの場から消えた。

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