黒猫が三十匹 ページ32
カカカッと音を立てながらナイフの角度を変え、攻撃をしていく。
「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！」」
会場が、史上最高に盛り上がった。
「こりゃあすげぇぜーー！！！」
「Aちゃんと太宰君凄いなぁ！！」
「やばっ！！え！？あんな強かったん！？二人とも！」
「え、あれ個性無しでしょ！？」
会場全体が物凄く興奮し始める。
さすが、ポートマフィア元幹部と現幹部。
プロヒーローでも出来ないような手さばきで攻めていく。
隙を一切見せない。プロヒーローとは桁違いの強さだった。
ちゃんと攻めだけではなく、守りもする二人。
Aのナイフが、太宰の頬に。
太宰のナイフがAの手首に。
ナイフがかすり、皮が破れ、肉がさけ、傷を作った。
太宰とAの口角が大きく上がる。
二人はバク転をして、距離を遠ざけた。
『…さて、終わりにしようか』
「いいね。終わりにしよう」
その会話に、観客たちは、ゴクリと唾を飲み込む。
「黒猫 太宰！！どちらが勝つのかぁぁぁぁぁぁ！！！」
プレゼント・マイクがそう言うと、Aコール、太宰コールが始まる。
風が吹き、Aと太宰の前髪を揺らした瞬間。
全く同じタイミングにお互いに地を思いっきり蹴った。
「決勝戦勝者ぁぁぁ！」
＿戦いの
＿幕が下りる
＿勝者は果たしてーー…
「引き分けだぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！」
Aのナイフが太宰の首元に。
太宰のナイフがAの首元に。
Aは、しゃがみ手を後ろに流し、太宰の首元へ。
太宰はしゃがんでいるAの首元へ。
＿勝者は
＿決まらなかった
『ふふ、まさか引き分けとはね』
太宰は手を伸ばし、ぐっとAの手を引っ張った。
「私も成長するんだよ。いつまでもひよっこじゃないのだよ」
『嗚呼、そのようだ』
Aと太宰はお互いの手を握った。
『いい試合だったよ、治』
「嗚呼、私こそ。楽しませてもらった」
この時の二人は＿＿
最高の笑みだったという＿＿
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作成日時：2019年8月27日 18時
