黒猫少女、英雄高校へと行く［ヒロアカ/文スト］ (ページ3)

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黒猫が一匹ページ3

固く閉じていた目が開き、むくりと起き上がる少女、黒猫A。

キョロキョロと辺りを見渡すと深緑のもじゃもじゃ頭の少年、緑谷出久がこちらをじっと見ていた。

「えっと…だ、大丈夫かな？」

『…アンタ誰』

口から発せられた言葉はきつく感じる言葉だった。

緑谷は発せられた言葉はソレだったのでえっと…と困惑する。

「ぼ、僕は緑谷出久っていうんだ…」

『あっそう』

緑谷は、Aの態度に、そっちから聞いたのに…と思っていた。

Aは呆気にふわぁと欠伸を零す。

なぜ私は此処にいるのだろうか。何か、此処に来る前にあったような…

嗚呼、そうだ。治を、助けたんだ。それで死んだっけ…

で女神みたいな人が、個性とかいう奴を与えてくれて…

…治、泣いてたなぁ…

≪A、A！Aまで死んじゃったら…やだよ…≫

≪、大丈夫。私がいなくてもやっていける。治は人を救えるようになった。立派になったな≫

≪だめ、だめだめ！死んじゃやだ…Aも私を置いてくの？≫

≪嗚呼…治、私は先に逝ってるからな。また…な≫

Aはぼーとしながら何があったかを思い出す。

「あ、あの！と、取り合えず僕の家に来ませんか！？」

緑谷は、顔をほんのりと赤くしながら半ば叫びながら言った。

Aは小さく肩を揺らす。

そして、ぶっと小さく噴き出した。

『ふ…いいよ。案内して』

何と言うか。こういうお人よしな所が、織田作に重なって…

性格も、姿も髪も、瞳も…何から何まで全てが違うのに、無性に織田作と重なって仕方なかった。

「えっとこっちです…！」

緑谷は、いまだに座っているAに手を伸ばしかけたが、その手はまた元の位置へと
戻っていった。

なぜか、理由は簡単だった。

とても、脆いような悲しいような、懐かしむような顔をしていたからだ。

触ったら、何もかもが崩れてしまうような。

『…』

Aは、無言で立ち上がり、パッパッとズボンについている砂を叩き落とした。