黒猫が十七匹 ページ19
『あの後どうなった？』
「もう…大変だったんだよ？Aが死んじゃってから…ポートマフィアと武装探偵社で
盛大な葬式をあげて、中也なんかずっと泣きっぱなしだったし…姐さんも敦君も国木田君も芥川君も
…みんな泣いてた…ホント、Aは愛されてるね」
『ふふ…そうか、それはすまなんだな』
「思ってないでしょ」
『いいや、思ってるさ』
「なら、今晩お酒付き合ってよ」
『嗚呼。いいさ。くいっと行こうじゃないか』
Aはお酒を飲むふりをする。
頬を緩めながら嬉しそうに駄弁るAと太宰。
すると、おい、と後ろから声を掛けられた。
チラリと後ろを見ると、相澤先生が立っていた。
「太宰。まだ紹介が終わってないぞ。Aも座ってろ」
すると二人揃って舌打ちを零した。
粗方、久しぶりの再会を果たし、話をしている時に遮られ機嫌が悪いのだろう。
「…私は太宰治。よろしくね」
ニコリと笑う、太宰。
しかし、顔にはA以外宜しくしないと書いてある。
「太宰は、身の置き場がなく、記憶喪失でここで預かる事になった。もう20を超えているが
立場的には生徒の立場だ。仲良くしてやってくれ」
「太宰の席は黒猫の前の席だ」
『おお！治！良かったな！』
「やったね！A！」
子供の様にはしゃぐA。
普段のAからは、想像することも出来ない姿だ。
「取り合えず体育祭の説明をするぞ」
「待って待って！敵に侵入されたばっかなのに大丈夫なんですか!?」
生徒が声を荒げる。
「逆に開催することで雄英の危機管理体制が磐石だと示す…、って考えらしい。警備は例年の五倍に強化するそうだ。
何より雄英の体育祭は………最大のチャンス。敵ごときで中止していい催しじゃねえ。」
日本のビックイベントともいえる、雄英体育祭。
「当然名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる。時間は有限。
プロに見込まれればその場で将来が拓けるわけだ。年に一回…計三回だけのチャンスヒーロー志すなら絶対に外せないイベントだ！」
その雄英体育祭とやらは、太宰がいる。
Aは、わくわくを胸に、静かに口角をあげた。
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作成日時：2019年8月27日 18時
