黒猫が十六匹 ページ18
『…私は……ただ…織田作とタッグを組みたい。一緒に酒を飲みたい。一緒に話したい‥‥
ただそれだけだ』
また、出た。
Aの口から織田作と言う言葉がでる。
相澤先生は織田作とはいったいどういう男なんだ、と言いかける。
『…もう、これ以上その話をするな……さもなくば…貴様の首が飛ぶぞ』
USJの時よりも強い殺気放つA。
相澤先生の頬を冷や汗が伝った。
冷や汗はポトリと地に落ち、四方八方に飛び散った。
こんなに強い殺気を操れるなんて何者だ、と相澤先生は心の中で呟いた。
『…貴様には、分からぬだろう。私たちの事なんて…一生、な…』
ボソリとAが呟く。
誰にも聞こえないほどの声量で言ったので誰の耳にも入らなかった。
「…さて、俺の安否はどうでもいい。まだ何より戦いは終わっていねぇ」
相澤先生のその言葉に皆が震え上がり、教室がざわざわとし始める。
「雄英体育祭が迫ってる！」
「「クソ学校っぽいの来たあああ!!」」
相澤先生の言葉に皆はほっとしながら、声を荒げる。
Aは、窓の外と眺めながら尻尾を揺らしていた。
「あともう一つ。転校生がやってきている。入って来い」
これまで興味を示さなかったA。
この言葉に興味を示す。
チラリと見れば、砂色のロングコートを羽織り、包帯を巻いている男性。
ガタリとAは立ち上がった。
Aに視線が集まるがそんなのおかまいなし。
Aと転校生の視線が交わった。
ダッとお互いに走りだす転校生とA。
『治ｯ…！』
「Aｯ！！」
ギュとお互いに抱き着く。
『嗚呼…治、大丈夫なのか？怪我してないか？』
「もうｯ…大丈夫だよ……なんで私を庇ったんだい？」
『だって…私たちは友達だろう？』
緑谷でさえ見たことのない最高の笑みにクラスメイトと相澤先生は目を見開く。
「ふふ…そうだね…Aには敵わないや…」
『そうか…』
お互いに嬉しそうに微笑みながら額をコツンと合わせる。
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作成日時：2019年8月27日 18時
