黒猫が十五匹 ページ17
「おはようございます！」
『…おはよう』
1ーAにいけば、いつも通りのAの姿があった。
ばっと皆は一斉にドアの方を見る。
口をはくはくさせて驚いている者もいれば心配している者もいた。
一方Aは平然とした顔で席に座る。
すると、どっと雪崩のようにAの机に集まった。
「も、もう大丈夫なん！？」
『嗚呼』
「良かったですわ！復帰できまして！」
『嗚呼』
「黒猫、大丈夫なのか」
『嗚呼』
「…手前昨日の晩飯何食べた」
『嗚呼』
全部嗚呼、と答えたAを見て、呆れた顔をするものもいれば、笑っている者も現れる。
その時ふとAは考えていた。
あっちの世界では死んだことになっているが、私は戻れるのだろうかと。
まぁ、戻れないだろうな。
出来るのならもう一度あいつらの顔を見たいなぁ…
「ね、ねぇAちゃん。昨日の織田作って誰なん？」
「あ、それうちも気になる！」
「なんで手前はあんなに戦闘慣れしてたんだ」
無表情だった、Aの眉がピクリと動く。
お茶子は怒らせたか…と思ったが、それは違ったようだ。
どこか懐かしむような顔で、彼は私の仕事仲間であり友人だ、と告げた。
「、そうなんや…」
触ったら崩れてしまいそうな、脆く悲しい顔をしているAを見て、誰も発することは
出来なかった。
『…なぜ戦闘慣れしていたかはまたいつか話す。お前らが私の友人だと思ったとき、信じることが
出来た時、な』
嗚呼、矢張り私たちはただのクラスメイトであり、赤の他人なんだ、とお茶子は改めて思った。
そして、それと同時に友人だと認められているその織田作さんがいいなと思ったのだ。
教室がシン…となっているときに、ガララッ豪快な音を立て、相澤先生が入ってくる。
「お早う」
「「相澤先生復帰早えええ！！」」
相澤先生の視界にユラユラと揺れる尻尾が入る。
「…黒猫。USJのはどういうつもりだ。殺しをするなんて。なぜ殺した。お前はヒーローに
なりたいんだろう？」
鋭い目つきで睨む、相澤先生。
皆が冷や汗を描いている中、Aはケロッとしていた。
『…興味なし』
「は？」
『ヒーローにも敵にも興味がない』
じゃあなぜここに入った、と相澤先生が言いかけた。
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作成日時：2019年8月27日 18時
