└ ページ4
.
人気のない、綺麗な校舎を見上げる。
「あ！融佑、要ー。こっちこっち」
校門前で、悟くんが待っていた。俺たちに気がつくと手招きをし、笑顔を見せた。俺は佐和北先輩の後に着いて、校内へ入っていく。
まだ開校していないのでがらん、とはしているが、やはり新設校だけあってとても綺麗で清潔感があった。設備の充実度も半端ではない。
悟くんは俺たちに一通り、校内の説明をしてまわった。悟くんの案内がなきゃ俺は迷いそうだな、と静かに思う。
佐和北先輩は悟くんの案内に嬉しそうについていき、俺はその2人からやや離れ気味で、後ろについて行った。
高専になんて、通いたくねぇのに。と思いながら。
「こっちは体育館〜！どう？広いでしょ」
「うわー、すっごい……！ちょっと広すぎません……！？これ、」
「年頃の少年少女たちの運動量に合わせてデカくしてあるらしいからねー」
「無駄に広ェ………」
「ハーイ、んで、こっちは食堂ね。色んな種類の弁当だったりパンだったり、おにぎりなんかが売ってるよ〜」
「わっ、デザートがある！！やった………これで私の学校生活安泰だぁ………、」
「大袈裟スギでショ………ンで、激辛「辛いものはないよ、融佑」………ウィーッス」
「ここが君たちの学び舎、ならぬ教室〜！大して人数もいないのに無駄に広いでしょ〜！」
「まァ狭イヨリはイインじャナイッスかネ、知らネーケド」
「お〜凄い凄い！上層部って意外と太っ腹だなぁ………」
そんなこんなで、校舎内を散策しながら案内を受けていると、
昼を告げる、チャイムが響く。
「………っと、まぁこんな感じかな。思ったよりも時間かかっちゃったね、ゴメンゴメン」
チャイム音に気付いて、悟くんは顔を上げた。佐和北先輩はそれに優しい笑みを浮かべながら、「いーえ〜、」と返している。
俺が特に反応することでもないので、その様子を黙って見ていた。先輩と悟くんは何やら、雑談のような会話を交わしている。
なんだか2人のそばに居ることが気まずくなって、窓辺によしかかって、窓の外を見やった。
気持ちのいい風が吹く。ひんやりと冷えた空気が喉につっかかって、途中で呼吸を投げ出したくなるほど喉が痛かった。
ずきずきと痛む。喉仏を押し潰すかのように触れる。喉はまだ潰れない。
はやく、潰れればいいのに。なんて思う、俺は拡声器だ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 17人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かくも。 | 作成日時：2024年2月13日 17時
