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わたしと影山くんは見つめ合っている。比喩ではなく本当に。
その黒い双眸はわたしを真っ直ぐに射抜いていて、同じようにわたしも影山くんの瞳孔を見ている。そのさらさらとした髪は窓から入りこむ風になびいていて、息をひそめたくなるほど輝いていた。
影山くんの細く、骨ばった手がわたしの左手を掴んでいて、手の甲をするりと撫ぜた。
視線がぶつかる。なんて言葉をかけたらいいか分からず、思わず息を飲んだ。
影山くんの顔を見る。いつもとは違い、眉間に皺は寄っておらず、口角は緩んでいた。こうして見ると本当に綺麗な顔立ちをしていると思う。本当に。
ごくり、喉が隆起する。どうしていいか分からなくて、動けない。
何分そうしていただろうか。ふいに、どちらともなく、言葉がこぼれた。
「どうしよう……………」
胸が高鳴る。鼓動が、うるさい。
あぁ、もう。
―――――――――ドキドキして、死んじゃいそうだ。
影山くんは、わたしたちの目の前で見事に割れている花瓶を見つめながら呟いた。
「…………怒られるよな、これ」
「わたし知ーらないっと」
「待て待て待て待て」
教室を出ようとするわたしの頭を鷲掴む。だから女にすることじゃねぇんだって影山てめえ。
いやもうホント、ある意味ドッキドキだ。こんな状況他の人に見られたら一発アウト。
「A!てめぇ自分だけ逃げようとしてんじゃねぇ!俺らはミョウバンなんだからなボケェ!!」
「うん。共犯って言いたかったことだけは分かった」
「俺がバレたらお前もツンデレだぞ!」
「どうしたら道連れがツンデレになるんだよ」
いや確かに、影山くんはツンデレ属性だけどさ……認めちゃダメでは?
真面目な顔して、ふざけたことを言う影山くんを横目に、わたしは何故こうなってしまったのかを、考えてみた。
え〜〜〜〜と確か、美化委員であるわたしが花の水取り替えようとしてたら影山くんがこんにちはして来て、「……手伝うと思ったか?手伝わねぇよボゲェ」とかすげぇ邪悪な笑み浮かべて言うからムカついて脛蹴ってやったら戦争(小並み)が始まって、
で、花瓶にぶつかってきた影山くんの重さに驚いて、わたしが手滑らせて落としたと。……………
「影山くんのせいだね!!!!」
「オイいい笑顔で言うんじゃねぇ雑草だろ」
「共犯だよ馬鹿かよ雑草なわけねぇだろ」
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かくも。(プロフ) - さなかさん» コメントありがとうございます。ツンデレな影山くんを目指したので、そう言っていただけて嬉しい限りです……! リアルのこともあり、更新はゆっくりになってしまうとは思いますが、これからもどうかよろしくお願いいたします。 (2月24日 21時) (レス) id: 0dd49dac82 (このIDを非表示/違反報告)
さなか - ツンデレ!(胸が打たれる)・・・可愛い 影山君めっちゃ見てて楽しいです!これからも頑張って下さい‼︎‼︎ (2月23日 20時) (レス) @page21 id: c6c26cf44c (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - かくも。さん» ✉️。こんにちは!いつも作品見てます!!全作品を何回も繰り返す程大好きです!!もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか?ボードに返事送ってます。嫌じゃなければボード返事待ってます!これからも更新応援してます!!💝 (2月6日 19時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
かくも。(プロフ) - コミュ障さん» コメントありがとうございます。需要しかないだなんて言葉を頂けて嬉しいです。更新頑張るので、これからもよろしくお願い致します! (11月25日 22時) (レス) id: 52443ca11f (このIDを非表示/違反報告)
コミュ障(プロフ) - 結局優しい影山大好きすぎるぅ!更新ありがとうございますマジで需要しかない... (11月25日 21時) (レス) @page11 id: aeac63a63d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かくも。 | 作成日時:2023年11月15日 23時