影山飛雄に嫌われた〈影山飛雄〉

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「許してあげる、駅前のパフェ毎週ひとつ奢りでいいよ………」



「散財するわバカか。優しさクソだなお前」





じとっとした、影山くんの湿った瞳がわたしを見つめる。

悪いって謝ってきたのは影山くんの方なのに、わたしが罵倒されるとかちょっと解せぬですわ。




教室は数秒前の沈黙が嘘のように騒がしかった。まあわたしは静かな場所よりうるさい場所の方が好きだからいいんだけど。





「そう言えば影山くんってさぁ、わたしのこと好きだよね？」

「消えてくれ」


即答された。なんで？当然の事実を言ったまでなんだが？



もう既に影山くんの目は虚ろだ。元々大して輝きのない黒い瞳だったのに更に濁って沈んでいる。けれどそれも映えるほど、彼は顔の造形が綺麗だった。


しかしなんでだろう。なんで影山くんは消えろってわたしに言う？好きな相手に？(違う)





「影山くんってさぁ、好きな子には傷ついてもらいたいタイプ？気持ち悪いよ？」

「んなわけねぇだろボゲ！！！勝手に俺を気持ち悪い設定にすんじゃねえ！！！前提が間違ってんだよ前提が！！！」

「いやだって、わたしに消えろとか言うし………」

「だからまずお前の事が好きじゃねえんだよ！！！どこをどう見たらそう思うんだ！？」

「えー……だってさ、」




わたしはわざとらしく咳払いをして見せる。その間にも、影山くんはツッコミ疲れたような顔をして溜め息をついていた。




「初対面の時わたしの上に座ってこようとしてたし、教科書貸してくれたし、スキンシップ(頭鷲掴み)過多だし、好きとか言うし(言ってない)、愛してるとか言うし(言ってない)、あと顔に好きって書いてあるし(書いてない)、もうこれ好き確定じゃん？」

　



「話の8割お前の捏造じゃねえか！！！！あと究極のポジティブだなお前その発想を他に活かせボゲェ！！！！」

「え、照れ隠し下手すぎん？」

「お前目腐ってんのか！！！！だから前提から疑えよなんで俺がお前の事好きだってことは疑わねんだよそっから間違ってんだっつーのこのボゲ！！！！」

「反対言葉言うゲーム？いいよ、しよ！」

「この末期が！！！！！」




末期ってひどいな影山くん。わたしは君が今やってる反対言葉ゲームに参加してあげようと思っただけなのに………。ぴえんぴえん。






「ハッ……………もしかして……………、ツンデレ！！！！？」

「？A、お前何言ってんだ………？」







いいじゃん！！嫌いじゃないよそういうの！！！

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