影山飛雄に嫌われた〈影山飛雄〉

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「うわ12」



「フフフ………これが俺の力だ！」




「いや違ぇよ低くて驚いてんだよドヤ顔やめれ」






ちらり。小テストが返された後の休み時間に、まじまじとテストを見つめているから点数を見てやろうと首を伸ばすと視界に入ったのは圧倒的な12。多分誰のテスト用紙よりもデカデカと書かれた「12」。


まあ、要は影山くんは12点だったって事だ。素晴らしい頭脳！色んな意味で！



「勉強しねぇでこれだぜ……勉強したら30点くらい軽く取るんじゃねえか？」

「うん………とりあえずドヤ顔やめようか恥ずかしいから………あと勉強してないことを誇らしげに話すな………馬鹿………」

「A…………。嫉妬はやめた方がいいぞ、ボゲ」

「嫉妬なんてするかよたかが12点にさぁ！！！言っとくけどその数字マジで偶数って事ぐらいしか価値ねえぞ気付けこのクソトビウオ！！！脳までトビウオかコラトビウオの賢さ知らんけど！！！あとボゲ言う必要あったかなあ！！！？」




影山くん、引いた目で見てんじゃない。12割くらいお前のせいだから。

やがて影山くんはいつも通りぶすっとした顔になって、ジト目でわたしを見てきた。口がいつもよりも更にとんがっている。


「じゃー、Aは何点なんだよ」

「わたし？…………まぁまぁ勉強したけど、ここの単元苦手で……あんまり取れなかったんだよね〜」



と保険をかけつつ、テスト用紙を影山くんに見せる。点数はなんてことない、平均点とほぼ一緒の「62点」だ。

　





「………………」

「あぁ………見比べるのやめなさい……ほら悲しくなってくる………」

「………別に悲しくなってねえよ」

「あぁ！紙グシャってするのやめなさい！物に当たらない！勉強しなかったんだから自業自得でしょ！」

「………勉強なんざ俺にはやっぱり必要ねえってことだな……」

「どうしてそうなる！！？むしろ今現在足りてないんだから一番必要でしょ！？補習とかでバレーの遠征行けなくなったらどうすんの！」

「何言ってんだ。行くぞ、俺が行けない遠征とかねぇから」

「駄々っ子！！凄い屁理屈言うね君逆に清々しいよ！！そういう脳筋的な考え嫌いじゃないよ！！」

「気持ち悪………気持ち悪いな」

「言い直した意味ねえな！！？結局気持ち悪いままじゃねえか！！」








影山くんが屁理屈なクソガキなせいで、思わず息が切れる。トビウオくんマジで強いわ。

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