影山飛雄に嫌われた〈影山飛雄〉

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「影山くん、お昼一緒に食べよ」

「……………」

「早歩きのスピード鬼なんだけど」






弁当を持って影山くんに話しかけると、影山くんはぎくりとした様子で振り返る。と思えば、そのまま一目散に早歩きをしてった。


避けられ続行中………尋常じゃない速さで歩く影山くんの後を必死に追いかければ、購買に着いた。


弁当派のわたしには、あまり馴染みのないところだが、影山くんはどうやら、よく来るらしい。



追いかけてきたわたしに気まずそうな顔を向け、彼が言った。




「………A。お前いったん教室戻れ。食う時間なくなるぞ」

「大丈夫。食べるの早いし………影山くん、なんのパン買うの？」

「…………小麦のパン」

「うん。パンは全部小麦だよ」




つーかむしろパンという生地自体が小麦で出来てるからね。うん。勉強って大事だね。




影山くんは顔をそらして口をとがらせたまま、「………茶色と黄色混ざった色のやつ」と言う。うんだから、パンってほぼ全種類その色だよね？説明下手か。



わたしは弁当を持ったまま、彼の後についていく。と、後ろから、突然何かがぶつかってきた。



え、なに。





「い゙ッ………っでぇ―――〜！！！おい、影山！おまえ、でかいのに突っ立ってんじゃねーよって、うわわ、誰！！？」

「おーっとブーメラン」

「え！？ブーメラン！？どこ！？」

「アッ影山くんと同じ匂いがするぅ」




どうしようこの子。多分影山くんだと思ってぶつかっちゃったんだよねごめんねAで。この場を借りて謝罪するので許してござんすすいやせんでした。まる。



影山くんが、ぶつかってきた子のよく通る声に気がついてこちらを向く。と、



「………日向じゃねーか。なんでこんな所にいんだ？」

「そりゃ購買なんだし来るよね。居るはずない所で見つけました的な言い草だけど」

「え、確かに………。おれなんでここに居るんだ………？」

「おっとー急展開」



これは記憶喪失フラグか！？まぁ記憶喪失モノってほぼ全てが元サヤに収まるしまぁ良しとしよう！



おそらく、多分この日向くんとかいう子も普通に昼ごはんを買いに来ただけなのだろう。多分。





「影山と…………えっと、さっきはごめんな！前見てなくて！」

「そうだボゲェ。もっと謝れボゲェ」

「大丈夫だよ。痛くなかったし。あと影山くんは調子乗んなコラ」

「わ、悪かった………」

「やーいやーい、怒られてやんの！」

「君ら調子乗んないと死ぬタイプ？」

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