検索窓
今日:7 hit、昨日:20 hit、合計:11,958 hit

13 ページ13

「影山くん」

「……………なんだ」





わたしの言葉に、彼が顔を上げる。その眉根はしかめられてはいるが、どうやら原稿用紙に対しての感情らしい。


暇だなぁとつぶやくと、影山くんはなぜだか申し訳なさそうな顔をしてくる。この人、わたしのせいでこんなことになっていることを忘れているんだろうか。




「………A。お前、もう帰ってもいいんだぞ」

「んー……、影山くんがこうなったの、わたしのせいなんだよ」

「………別にお前だけのせいじゃねぇだろ。早く帰れ、暗くなっちまうぞ、ボゲ」

「暗くなっても大丈夫だよ。わたしの家遠くないし」

「……俺が大丈夫じゃねぇ」




影山くんに、頭を軽く小突かれた。彼は熱心に、反省文を書いている。書いては消しを繰り返して。



そんなに真面目に書くだなんて思わなかった。彼は、取り組むと決めたらストイックなところがある。






「………影山くんってさぁ、なんで王様って呼ばれるの嫌なの?」




ぴたり。動いていた、影山くんが静止した。目つきの悪い瞳を、いつもより少しだけ開きながら。


これは地雷。聞いてはいけないこと。なのになんで、口が動くんだろう。





 
「バレー関連のこと?王様なんてかっこいいのに、なんで嫌なの?地雷?怖がられてるのが嫌なの?なんで?王様の何がだめ?ねぇねぇ、教えてよ」




彼は止まったまま。目の前に影山飛雄はいるのに、直接見ても表情がよくわからない。
 



影山くんは動かない。このまま溶けて消えるんじゃないかって、心配になるくらい。



 



ふと、消えないようにしなければ、と思った。なんとなくだけど。それが正しいような気がしたのだ。





「………影山くんは、バレーボールが一番大切だよね」



ふと、口からこぼれた言葉。自分で何を言いたいのかさっぱりだけど、でも本心だ。





「…………?あぁ、もちろん」



当然のようにうなずく彼。






「…………じゃあさ、わたしのことを2番目にしてくれないかな。1番だなんて言わないから、せめてさ」








わたしは影山くんが、1番大切だから。






そこまで言って、すこし笑う。全部真実で、何よりの本心だ。


影山くんの顔をうかがう。彼の顔は――――――って、え?









「おっ、俺は!!!!Aなんか嫌いだ!!!!!」








影山くんはそのまま、真っ赤な顔をしながら、反省文を置いて教室を出て行った。











―――――――――影山飛雄に、嫌われた。

14→←12



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (51 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
111人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , HQ , 影山飛雄
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

かくも。(プロフ) - さなかさん» コメントありがとうございます。ツンデレな影山くんを目指したので、そう言っていただけて嬉しい限りです……! リアルのこともあり、更新はゆっくりになってしまうとは思いますが、これからもどうかよろしくお願いいたします。 (2月24日 21時) (レス) id: 0dd49dac82 (このIDを非表示/違反報告)
さなか - ツンデレ!(胸が打たれる)・・・可愛い 影山君めっちゃ見てて楽しいです!これからも頑張って下さい‼︎‼︎ (2月23日 20時) (レス) @page21 id: c6c26cf44c (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - かくも。さん» ✉️。こんにちは!いつも作品見てます!!全作品を何回も繰り返す程大好きです!!もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか?ボードに返事送ってます。嫌じゃなければボード返事待ってます!これからも更新応援してます!!💝 (2月6日 19時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
かくも。(プロフ) - コミュ障さん» コメントありがとうございます。需要しかないだなんて言葉を頂けて嬉しいです。更新頑張るので、これからもよろしくお願い致します! (11月25日 22時) (レス) id: 52443ca11f (このIDを非表示/違反報告)
コミュ障(プロフ) - 結局優しい影山大好きすぎるぅ!更新ありがとうございますマジで需要しかない... (11月25日 21時) (レス) @page11 id: aeac63a63d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かくも。 | 作成日時:2023年11月15日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。